話題沸騰! オーデマピゲ×スウォッチの「ロイヤルポップ」とは? 何がすごい?

  • 投稿日:2026年05月19日

こんにちは、中野ブロードウェイの時計店「れんず」です。

2026年5月16日、オーデマピゲとスウォッチによるコラボレーションモデル「ロイヤルポップ」が登場しました!
SNSで告知が出たときから非常に話題となっており、AIで「こういうモデルが出るのでは」と予想していた方も多く見られました。

オメガとの「ムーンスウォッチ」コレクション。
ブランパンとの「スキューバ フィフティファゾムス」コレクション。
これらに続く、大型コラボとなっております。
これまでのブランド同様、オーデマピゲもまた高い知名度を誇るブランド。
必然的に注目度も期待もぐっと高まりました。

なんでこんなに話題になってるの?

どうしてこんなに話題となっているのか。
それは、以下の理由が大きいと考えられます。

・オーデマピゲとスウォッチという2社がコラボすること自体への驚き。
・オーデマピゲの「ロイヤルオーク」らしいデザインを、スウォッチらしい手の届きやすい価格で入手できること。
・多くの人の予想に反して、腕時計ではなく懐中時計のスタイルで登場したこと。
・スウォッチストアでしか買えず、大行列の様子がネットニュースでも話題に。

いつでもどんなブランドでも、新作が発表される際には盛り上がりを見せるものですが、今回のコラボはなかなか熱狂的に見えますね。

やや邪推にはなりますが、4月の頭から情報を小出しにされ、時計ファンの間で期待と憶測が飛び交った結果、いわゆる「転売ヤー」に目をつけられてしまったという点もあるのかなと感じています。

雲上ブランドのAP、お手軽ウォッチメーカーのスウォッチ


AP ロイヤルオーク オフショア ダイバー 15720ST.OO.A009CA.01

パテックフィリップ、ヴァシュロンコンスタンタンと並んで「世界三大時計ブランド」「雲上時計ブランド」と称えられるオーデマピゲ。
現在でも一族による経営が続いているマニュファクチュールであり、数ある時計ブランドの中でも指折りの歴史と功績を持っています。
お時計一本につき、数百万円以上するのが当たり前
公式サイトには直接価格を載せていないモデルも多く存在しています。

対して、スウォッチ。
気軽に手に入れやすいお時計を多く取り揃える、スイスのウォッチメーカーです。
遊び心に富んだ色やデザインを持つモデルが多く、物によっては1万円でお釣りがくるお時計すらあります。
AIを用いてオリジナルデザインのユニークピースを作成・購入できるサービスがあることからも分かるように、時代の先を行くチャレンジャーなメーカーといえるでしょう。

高級腕時計ばかりを扱うオーデマピゲ。
お手頃価格の時計ばかりを扱うスウォッチ。
今回は、時計好きほど「なんで??」と疑問に感じるコラボレーションだったわけです。

どうしてコラボしたの?

販売元はスウォッチなので、端的に言えば時計が売れて懐が潤うのはスウォッチの方です。
では、AP側のメリットとは何だったのでしょう。
それは、オーデマピゲの公式サイトに明記されていました。


オーデマピゲ公式サイトより。

「若い世代を含む より広い層」。

スマートフォンやスマートウォッチが普及したことで、最近の若い人は腕時計に必要性を感じていないことが多いです。
「時間を確認するならスマホでいいし、わざわざ高級なものを買う理由が分からない」と。

そんな現代を生きる若者たちに向けて「手が届く価格で」「腕時計ではなくファッションアイテムとしても楽しめる時計」として挑戦したのが、今作なのだと思います。

ポップな色合いと、ころんとした懐中時計のフォルム。
機械式時計のことをよく知らない層にも興味を持って見てもらえそうですよね。
機械式時計そのものに馴染みのない人にとって、時計ひとつに5~6万円は高額かもしれません。
それでも、数十万、数百万の腕時計よりは手を伸ばしやすいはずです。

また、オーデマピゲに対して「雲上時計ブランド」という憧れのイメージを持つ時計好きは多いです。
だからこそ、そのイメージは壊さないまま、スウォッチという場所を利用して新しい挑戦をした。
今回のコラボレーションにおけるオーデマピゲの狙いは、そういった点にあるのかもしれません。

今作は愛らしい見た目でありながらクォーツ時計ではなく機械式、しかも手巻き式です。
これを機に、今まで機械式時計に触れてこなかった「より広い層」にも魅力が伝わっていくと良いですよね。

ロイヤルポップはどんな時計?

さて、そんな「ロイヤルポップ」がどんなものなのかをご紹介しましょう。

第一に、腕時計ではありません
懐中時計、ポケットウォッチと呼ばれるタイプのお時計です。

全部で8色のロイヤルポップが登場しました。

その内6つが「レピーヌ」タイプ。
リューズが12時についています。

後の2つは「サヴォネット」タイプ。
リューズが3時についており、秒針がスモールセコンドです。

ケース部分とランヤード(懐中時計のチェーンのように使ったり、首から下げたりできるストラップ)は着脱できるようになっています。
時計本体だけをポケットに入れたり、別売りのランヤードと交換して楽しんだりできるわけですね。楽しいです。

S(18cm)、M(32cm)、L(42cm)の3サイズが登場しており、本体についてきたものとは別の組み合わせを作ることができます。
あえて本体とは別の色のものを購入してみるのも面白いと思います!

8つのカラーバリエーション

八角形のベゼルに8つのビス。
ロイヤルオークだけでなく、今作ロイヤルポップにおいても、8は重要な数字となっています。
そのため、全てのモデル名に各国の「8」、そして色の名前が付けられています。

OTTO ROSSO

イタリア語で「OTTO」は「8」、「ROSSO」は「赤」です。
チェリーレッドとピンク色が愛らしいです!

HUIT BLANC

「HUIT」は「8」、「BLANC」は「白」。
フランス語です。こちらも可愛いですね!
両面に溶接されているカラフルなビスは、組み上げ時にランダムに選ばれたものがはめ込まれているため、個体によって色が異なるんだとか。

全て違う色になる可能性もあれば、奇跡的に全て同じ色のビスが入る可能性もありますよね。
将来的に中古市場の価格設定に関わりそうな気もしますが、どうでしょうか。

GREEN EIGHT

GREEN EIGHT!
英語なので一番分かりやすかったですね。緑の8です。
緑一色なロイヤルポップ。
実機で実際の色味を見てみたいですよね。

BLAUE ACHT

「BLAUE」は「青」、「ACHT」が「8」。
こちらはドイツ語です。

ライムグリーン文字盤と、ライトブルーベゼルの組み合わせです。
今作では、8モデル全てに共通して針とインデックスにスーパールミノバが塗布されています。
この「BLAUE ACHT」は色合い的に、特に夜光が映えそうな気がしますね。

LAN BA

こちらは中国語
「藍(ラン)」「八(バー)」です。

サヴォネットタイプなので、スモールセコンド搭載&リューズが3時位置にあります。

OTG ROZ

略称のようにも感じられる名前ですが、スイスの公用語のひとつであるロマンシュ語が採用されています。
スイスには「スイス語」というものがないので、こちらが選ばれたのでしょう。
「OTG」が「8」、「ROZ」は「ピンク」です。

※ちなみにロマンシュ語、どうやら地域によっては8が「otg」だったり「och」だったりするようです。
(参考:https://www.omniglot.com/language/numbers/romansh.htm

ピンクの方も調べていると、ピンクは「rosa」とする翻訳機が多いな……という印象ではありましたが、少数言語ならではの揺らぎと思われます。
方言みたいなイメージですね。

スウォッチらしさ全開の、ポップな色合いが目を引きます。
こちらもLAN BAと同じく、サヴォネットタイプです。

OCHO NEGRO

先程のOTG ROZとは打って変わって、白黒で統一されたOCHO NEGRO。
「OCHO」が「8」、「NEGRO」が「黒」で、スペイン語です。

黒文字盤、やっぱり人気出そうですよね。
私も好きです。

ORENJI HACHI

最後は日本語
お分かりの通り、オレンジの八です。

このモデル、何故だか理由は分からないのですが、個人的に忍者に見えます。
なんでですかね。

深めのネイビーにオレンジがよく映えます。

製品情報

全モデルに共通して、本体のケースサイズは40mm。
ランヤードにはめた状態で44mm。

2気圧防水で、素材はスウォッチが開発したバイオセラミック。
パワーリザーブは約90時間です。
搭載するムーブメントに関しては、詳しく後述していますのでぜひご覧くださいね。

レピーヌタイプは税込57,200円。
サヴォネットタイプは税込61,600円。
こちらが2026年5月現在の国内定価となります。

ロイヤルオークの要素もしっかり!


AP ロイヤルオーク 15510ST.OO.1320ST.10

八角形のベゼルと八つのビス。
タペストリーと呼ばれる文字盤の模様。
インデックスや針を見ても、しっかりオーデマピゲのロイヤルオークを再現しています。


AP ロイヤルオーク 15450SR.OO.1256SR.01

ベゼルの表面はサテン仕上げが施され、タペストリー文字盤の凹凸にも本家を意識した装飾が施されています。
簡略化せず、細部まで丁寧に作られていることが分かりますね。

八角形のリューズには、「AP×S」。
それぞれのブランドロゴと同じ文体で刻まれています。

裏のサファイアクリスタルにプリントされる「ロイヤルポップ」の文字は、ロイヤルオークを模したデザインとなっています。
裏側にもちゃんとビスが8つあるところまで含めて、再現しています。

ムーブメントは手巻き式の「SISTEM51

ロイヤルポップには、SISTEM51というムーブメントが搭載されます。
ブランパンとのコラボモデルでも使用されたものです。
これまでのSISTEM51は自動巻き式でしたが、今回手巻き式として再設計されています。
腕時計と比べて、ポケットウォッチはあまり動く機会がありませんからね。
理にかなっております。

部品は僅か51個。
一般的なムーブメントは100~300個ほどなので、かなり少ないです。
それを100%機械によって次々と組み上げることによって、大量生産(=低価格での出荷)を可能としています。
ちなみに、100%機械によって組み上げられた機械式ムーブメントは、このSISTEM51が世界初だそうです。

ヒゲゼンマイはシリコン製ではなく、「Nivachron(ニヴァクロン)」と呼ばれる合金で作られています。
これは以前、2019年にスウォッチとオーデマピゲが共同開発したもので、磁気を帯びにくい性質を持っています。
SISTEM51がオーバーホール・修理不可ということもあり、耐磁性が高いのは重要ですよね。

オーバーホール・修理不可?

シースルーバックから覗くムーブメントをご覧ください。

ムーブメント内にネジが見当たりません。ないのです。
一般的なムーブメントがネジで留めているところを、このムーブメントはレーザー溶接によって留めているのです。
そのため、ムーブメントを分解することができません

一度組み上がってしまえば、壊れるまで使うのみ。
機械式時計に慣れ親しみ、愛着を持っている方ほど、なかなか飲み込みにくい事実かもしれません。
ただやはり、スウォッチというメーカーの在り方とこの価格を考えると、ロイヤルポップは「生涯を共にする相棒」ではなく、「流行りもの」「ファッションアイテムの延長」として気軽に捉えた方が良さそうです。

とはいえ、SISTEM51を搭載する他のモデルを使用している人々から「5~10年ほどは問題なく使えている」という声も散見されました。
初期不良であれば2年の保証期間内で対応してもらえます。
そして万が一、数年後に壊れてしまったとしても、幸い今作はファッションアイテムとしても有用でしょう。
修理不可だからといって、そこまで不安に思うことはないような気もします。

デザインを気に入って、数万円払って手元に置きたいかどうか
突き詰めると、そこに行きつくと思います。

腕時計型にして楽しみたい?

ポケットウォッチとして楽しむのもいいけど、やっぱり腕に着けたい!という方も多いと思います。
2026年5月時点では、オーデマピゲ公式/スウォッチ公式から、腕時計に付け替えるためのストラップは出ていません。

しかし、既に2社とは無関係の会社から「ロイヤルポップを腕時計にするためのストラップ」が出ているようです。
「それっていいの?」なんて思ってしまいますが、スマホカバーや周辺機器に近い印象ですね。
オーデマピゲとスウォッチがこれをよしとするかどうかは、今後の動向を見守る必要がありそうです。
少し落ち着いた頃にでも、公式から腕時計にするための拡張パーツが出ると良いですよね。
楽しみです。

なお、TikTokやインスタ等に多くのAI製ロイヤルポップ動画を確認しております。
現代で注目されるとこうなるんだな……をひしひし感じつつ、正しくない情報を拾ってしまわないよう注意していきたいですね。
私も気をつけます。

購入方法は現地のみ。これには賛否両論アリ


△ もちろんイメージ画像です

オーデマピゲとスウォッチのコラボウォッチですが、購入できるのは限られたスウォッチストアのみ
オーデマピゲの店舗では購入できませんし、公式サイトからも買えません。

SNSに上がっている画像や動画がどこまで真実か、という話はさておき、世界中のスウォッチストアに大行列ができるほど注目されていることは事実です。

この熱量はラブブやボンボンドロップシール等の盛り上がり方を連想させますね。
既にメルカリやヤフオクに出品され、かなりのプレ値にも関わらず購入済となっている様子もちらほら見受けられます。
コラボレーションモデルということで限定品であると勘違いしたまま店舗に押し寄せ、ネットで転売……。なんて流れも多いのでしょう。(ロイヤルポップは限定品ではありません!)
純粋な時計好きとしては「う~ん」と感じてしまいますよね。

量産する割に、ネットショップでは販売せず、店頭販売だけ。
「実際に時計を見て、実物の良さを感じた上で購入してほしい」と言えば聞こえはいいかもしれませんが、海外では怪我人が出るほどの騒ぎになっている様子。
注目を集めすぎるのも困りものです。
日本でも「店頭に在庫がないのにまだ並んでいる人がいる」なんて状況になっているようですね。
ストア前の大行列や品薄状態も、スウォッチが話題性を狙って作り出しているのかもしれませんが、いちユーザーとしては「そんなことしなくても沢山売れそうなのにな、普通に通販で売ってほしいな」と感じます。

ロイヤルポップ購入時に注意したいこと

焦らなくて大丈夫

繰り返しになりますが、現在、ロイヤルポップは店頭販売のみ。
そして発売直後ということもあり、店頭の在庫数的な意味で、購入のチャンスが限られてしまっています。

しかし、今作は数量限定モデルではありません
スウォッチ公式からも、「数カ月は販売するから!」と発表が出ています。

しばらくすれば一定の波は引くでしょうから、そのタイミングでゆっくり「どの色が好きかな」、なんて吟味するのが良さそうです。

ちなみに、販売しているのは一部のスウォッチストアのみになります。
オーデマピゲのブティックに行っても置いていませんので、そこも含めてご注意くださいね。

バッグチャーム時の防犯面は気になるかも

ランヤードで鞄に取り付けて、チャームとして楽しむことも想定されているロイヤルポップ。
結構強い力でしっかり押し込まないと着脱できないようになっているとのことなのですが、ロック機能などがあるわけではありません。

そのため、人混みの中で気付いたら本体だけ盗まれてしまった、という可能性はどうしても考えてしまいますよね。
日本で普段使いする分にはなかなか起きない事件かとは思いますが、海外旅行の際やお祭り、テーマパーク等では、チャームよりポケットウォッチとして身に着けている方が安心できそうです。

まとめ

オーデマピゲとスウォッチによるコラボモデル「ロイヤルポップ」。
これが今、大注目されている理由をご紹介してまいりました。

腕時計という枠から外れ、あえてポケットウォッチという形式で登場したにも関わらず、バッグチャームや首掛け、キーホルダー等、新しい身に着け方を提示してきた革新的なモデルです。

オーデマピゲ「ロイヤルオーク」へのリスペクトは忘れず、スウォッチらしい遊び心に富んだコレクションだと思います。

今回はロイヤルオークでよく見られる「8」に合わせて8モデルの登場でしたが、今後、新色のロイヤルポップが登場したり、腕時計として着けられるための追加パーツが出たりしても良いですよね。
これを機に、より広い層へ機械式時計の文化が広がっていくといいなと思います。

NY


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この記事の監修者

青木
青木
好きなブランド:全般。あえてあげるならブレゲです。
1987年生まれ、埼玉県出身
日本時計輸入協会認定 ウオッチコーディネーター(CWC)
業界歴:2012年より時計業界に従事
20歳でアパレル業界へ入り、服飾販売員として勤務をしたのち、かねてより興味のあったブランド業界へ。
時計だけでなくジュエリーやバッグ等、ハイブランド商品をオールジャンルで取扱う某社にて経験を積んでいく過程で時計の奥深さに惹かれ、時計部門の責任者となる。
れんず入社後、店舗販売スタッフとして従事したのち店長を経て、2023年11月から統括責任者として就任。
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