徹底解説~オメガ スピードマスター ムーンウォッチ誕生の原点「145.022-69ST」5th~

  • 投稿日:2025年03月11日

先日、オメガ スピードマスター プロフェッショナル「Ref.145.022-69ST 5thモデル」が入荷してきました。

1957年に初代モデルが誕生して以来、細かなマイナーチェンジを重ねるなかで、現行のスピードマスタープロフェッショナルモデルに近い仕様をとったムーンウォッチ誕生の原点といえるモデルです。

これを機に、「Ref.145.022-69ST 5thモデル」について、調べてみたのでお話ししたいとおもいます。

 

スピードマスターの始まりから今まで

スピードマスターが誕生してから現在までの簡単な歴史をお話しします。

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まず、スピードマスターの起源である1stモデル「Ref.CK2915」は1957~1959年に製造されていました。
オメガはスピードマスターの他に、シーマスター300「Ref.CK2913」、レイルマスター「Ref.CK2914」の計3つのプロフェッショナルモデルを同時に発表しており、1957年はプロフェッショナルモデルの誕生の特別な年となりました

そこからさまざまな変更を重ね、1964年-1968年製造の4thモデル(Ref.105.012、Ref.145.012)で、NASAの要望で初めてケーズにリューズガードが付き、外観は現行モデルにかなり近いものになります

コラムホイールが特徴のレマニア製クロノグラフムーブメント「Cal.321」を搭載しているのもこのモデルまでとなり、以降は生産効率の高い「カム式」クロノグラフムーブメント「Cal.861」が搭載されるようになります。

そして、「Cal.861」に変更された5thモデルが登場します。

外見の変更としては、オメガマークが立体的なアプライト仕様のものからプリント仕様に変更されました。

その他、1968年-1996年の製造期間の中で文字盤にあったミニッツ目盛り内側の段差もなくなりフラットな文字盤へ変わっていきます。

1982年~1988年に製造されたものは、オメガのリファレンス番号の管理方法が一新されたことによりリファレンスも「Ref.145.022」から「Ref.145.0022」に変更されましたが、デザインや搭載のムーブメントに大きな変更はありません。

そして1989年、「Ref.3570.50」に変更になりました。このころからシリアル刻印がスタートし、ラグの裏にシリアルがはいるようになりました。

その後、1997年~2014年の期間で製造された「3570.50」プロフェッショナルモデル後期には、ムーブメントが「Cal.861」の後継機「Cal.1861」に変更されたり夜光塗料がルミノバへ変わるなど、細部でのマイナーチェンジを重ねてゆきます。

そして2021年、スピードマスター プロフェッショナルの第8世代となるモデルが発表されています。

大元となる4th誕生から現行モデルに至るまで、実用性を高めるための細かなマイナーチェンジはあるものの、デザイン意匠には大きな変更がなされておらず、アンティークな装いも魅力の一つとなっています。

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さくっっとですがこのような歴史をたどっています。

では今回入荷した「Ref.145022-69ST」5thモデルについてみていきます。

スピードマスター プロフェッショナル【Ref.145022-69ST 5th】とは

先にも述べましたがこの5thモデルは、レマニア製クロノグラフムーブメントをベースとする「Cal.861」を搭載して1968年誕生し、1996年頃まで製造されたモデルです。

ロゴが現行のような塗装仕様(4thまでのモデルは、オメガのロゴが金属仕様)になった最初のスピードマスターとなります。

※サブリファレンス※

リファレンスナンバーの後ろに「-69ST」や「-71」などサブリファレンスが付くものもあります。

例えば「69」は1969年 – 1971年に製造されたモデルであることを表していますが、

145.022-69が70年代前半に製造されていたりと、スピードマスターにおいては必ずしも製造年を示すものではありません。

5thの細かなマイナーチェンジ

登場したのは1968年で、人類月面到達が1969年。

そのため、人類が月に到達する前の時代のものは、「プリ・ムーンウォッチ」や「プレムーン」等と呼ばれています。

そして月面着陸成功を機に「ムーンウォッチ」といわれるようになり、記念デザインとして裏蓋にも「THE FIRST WATCH WORN ON THE MOON」の文字が刻印されるようになります。

 

このようにマイナーチェンジを何度も繰り返したRef.145.022は、

個体によってさまざまな違いがみられるので、細かなディテールの違いを見つける楽しさがあります。

入荷した個体には、どんな特徴があるのか見ていきましょう。

ダイヤルの仕様

▲今回入荷した個体「Ref.145.022-69ST」です。

文字盤のミニッツ目盛りの内側に段差がついているのがわかると思います。

矢印のところの段差です。

このような仕様のダイヤルを「ステップダイヤル」といいます。

 

ステップダイヤル

ステップダイヤルとは「段付き文字盤」とも呼ばれ、文字盤の外周部(ミニッツトラック部分)に段差がある仕様のことです。

この文字盤が採用されていたのが初期~1971年までで、「Ref.145.022-71」がその最後のモデルとなります。

1971年以降は、この段差のないフラットな文字盤へ変更されます。

 

ロングS/ロングR

「Speed master」の文字を現行のスピードマスター プロフェッショナルと比べてみました。

「S」の文字は、Ref.145.022のほうが縦に長いのがわかります。これを「ロングS」といいます。

「r」の文字も、Ref.145.022は下に長く伸びているのがわかります。これを「ロングR」または「下がりR」といいます。

1990年代にはロングRは廃止された特徴です。

ドットオーバー90

ドットオーバー90とは、タキメーターベゼルに「90」の文字の右上にどっとがあるデザインのことです。

4thモデルまでのものに散見された特徴らしく、21世紀の新作にも復活しています。

今回の個体は…

どちらかというと「90」の横にドットがあるので、ドットオーバー90ではないようです、残念。

 

裏蓋の仕様

5thモデルの裏蓋は、次の3種類が存在するようです。

【プレムーン仕様(4th用裏蓋。シーホース刻印のみ)】

【ストレートライティング】※月面着陸後の時計に見られる記念デザイン

【彫りの深いメダリオンのシーホース】

 

今回入荷したものは写真のような裏蓋▼

シーホースの刻印のみのシンプルな仕様の、プレムーン仕様(ムーンウォッチ前)でした。

ちなみに、「スピードマスターなのになんでシーホース???」と思われるかもしれませんが、

スピードマスターよりもシーマスターのほうが先に誕生していて、ギリシャ神話に登場する海の守護神であるシーホースをレリーフとして採用していました。

シーマスターにCal.321を搭載した「シーマスター クロノグラフ」というモデルが誕生し、後に「スピードマスター」となったので、スピードマスターにもシーホースの刻印が継承された経緯があります。

さて、それぞれの裏蓋について説明します。

 

プレムーン仕様

月面着陸と同じ頃に製造されたこの初期のスピードマスターは、Cal.861を搭載した 「プレムーン 」モデルと呼ばれ、ケースバックにはシンプルなオメガの海馬のロゴが採用されていおり、月面着陸後の時計に見られる記念デザインではないものがあります。
その記念モデルは次の「ストレートライティング」になっています。

 

ストレートライティング

人類初の月面着陸が1969年、スピードマスターが「ムーンウォッチ」になり、そのことが裏蓋に刻まれた月面着陸後の時計に見られる記念デザインです。
スピードマスター ムーンウォッチの特徴として裏蓋に刻まれた文字「THE FIRST WATCH WORN ON THE MOON」。
現在では中央のシーホースの周りを円を描くように刻印されていますが、このRef.145.022の初期においては直線状に刻まれているものが存在します。これを「ストレートライティング」と呼びます。

 

メダリオンのシーホース

1971年からのサブリファレンス「-71」が付いた「Ref.145.022-71」以降では裏蓋がメダリオンのシーホースとなりました。

 

変化の流れは図のような感じでしょうか。

スレートライティング仕様の裏蓋はかなり短い期間のみ採用されていたということになりますね。

 

ブレスレット

Ref.145.022は製造期間が長いこともあり、ブレスレットにも変化が見られます。

このモデルに限らずピードマスターの長い歴史の中で調べてみると、バリエーションに富んだ違いがあるのは

ブレスレットなのではと思うくらい沢山の種類がありました。

 

こちらが入荷した個体のブレスレット▼

エクステンション付きキャタピラーブレスレット」と呼ばれるものです。

ブレスレットの型番は「Ref.1039」で、1960年代中期~1970年代初めごろにかけて採用されていました。
FF(フラッシュフィットのリファレンス)は「516」の折り曲げタイプのブレスレットです。

この「キャタピラ」のほかにも5Thモデルに採用されていたブレスレットがあるので、それぞれお話しします。

 

エクステンション付きキャタピラーブレスレット Ref.1039

日本の愛好家の間で、戦車の戦車のタイヤ「キャタピラ」に似た外観に由来する名前をもつブレスレットです。

オメガがプロフェッショナルモデル用に開発したもので、スピードマスターに採用されたことにより、

多くの時計ファンが子のブレスレットを知りました。

このブレスレットの特徴は「伸びる」こと。

根本の駒に板状のバネが内蔵されており、引っ張ると伸縮するという。

こちらをご覧ください▼

この構造は「セミエクステンション機構」とも言い、ダイビングスーツの上から巻くため開発された機構とされています。

(シーマスターのほうが先に製造されたことに関係がありそうですね。)

このバネは酷使すると伸びたり切れてしまい、入荷した個体のように状態よく残っていることは珍しいそうです。

※60周年を記念して復刻された『マスター3部作』Seamaster300・Speedmaster・Railmaster トリロジーにも、

この「キャタピラ」を模したブレスレットが装着されていますが、形や雰囲気を再現しているだけで、丈夫で現代的なブレスレットとなっています。

 

 

キャタピラブレス(3連タイプ。エクステンションなし。)Ref.1175 FF640

1960~1970年代の一部に装着されているモデルが存在しています。

先に述べたキャタピラRef.1039とは違い、こちらはエクステンションの無いタイプですが、

コマの形は少し角ばっているので、次に述べる3連タイプのブレスレットとRef.1039の間のような仕様です。

▲Ref.1175(引用:https://aucfree.com/items/b474205401)

バックルのロゴにも少し違いがあります。

 

3連タイプ 初期モデル Ref.1171 FF633~677

「オールドタイプ」ともいわれ、キャタピラブレスと同時期の1960~1970年代に4thモデル・5thモデルに採用されたブレスレットです。

バックルのΩマークの囲みが台形をしているのが特長で、仕様変更後はこの囲みが正方形になります。

▲初期Ref.1171 FF633(引用:https://aucfree.com/items/r331972126)

▲仕様変更後Ref.1171 FF.677 (引用:https://antiwatchman.com/products/detail.php?product_id=9031)

 

ちなみに、Ref.1171の修理交換用としてメーカーが用意したブレスレットがあり、型番は「1171/1」FF「633」。

このモデルはあくまでも凡庸らしく、他のオメガ製モデルにもフィットできるように刻印は刻まれていません。

当店にも過去に入荷した5thの個体でこのブレスレットのものがございましたが、バックルの写真が残っておりませんでした(悲)

しかし、「Ref.1171/1」は確認できました!

5連ブレス Ref.1116 FF575

元祖5連ブレスレットで、1960年代中盤~1972年頃まで採用されていました。
1014本限定で作られ、1~39番までは宇宙計画関係者に贈呈された「 アポロ11号記念モデルBA145.022-69」でも、
このデザインの金無垢ブレスレットが採用されています。

▲Ref.1116

 

カマボコブレス Ref.1447 FF805

ブレスレットを横から見ると…なんだか見たことがある…

かまぼこに似ている…なので「カマボコブレス」と呼ばれています。

 

カマボコブレス Ref.1450 FF808

Ref.1447よりも、コマのサイズが大きくなります。

底面が平らになってよりカマボコ型になっています。

カマボコブレス(後期)Ref.1479 FF812

形状はカマボコ型で、裏から見ると両サイドのコマがつながって見えます。

3連タイプかなと思うのですが、バラバラになったら実は5連だった…!?という話もありました。

本当のところはどっちなのか…


 引用:https://firekids.jp/products/omega-speedmaster

スピードマスター プロフェッショナルの第8世代 310.30.42.50.01.001

2021年、スピードマスター プロフェッショナルの第8世代となる新型が発表されました。

▲Ref.310.30.42.50.01.001

第4世代にインスピレーションを受けたデザインなので、ご紹介したステップダイヤルや5列のリンクを組み合わせたブレスレットなど、

当時のスピードマスターの雰囲気も醸し出します。

▲これがお待ちかねの、「ドットオーバー90」!ステップダイヤルもわかりますね。

 

▲裏蓋。少し見づらいですが、真ん中にシーホースのメダリオン仕様です。1971年頃の裏蓋によく似ています。

Ref.310.30.42.50.01.001は通常モデルで、プラスティック風防・サテン仕上げぼブレスレットを採用していますが、第8世代はもう一つシースルーバックモデル(Ref.310.30.42.50.01.002)

も用意されました。

こちらは、サファイアガラス風防&シースルーバックそしてサテン&ポリッシュ仕上げのブレスレットの仕様となっています。

 

最後に

以上、スピードマスター プロフェッショナル【Ref.145022-69ST 5th】についてでした。

調べれば調べるだけたくさんの情報が溢れています。文字盤の焼けやベゼルの違いなどまだまだ描き切れていないことも…!

また新しいことがわかったら、追記していきたいと思います(^▽^)/

今回ご紹介した、モデルはこちら!!

[アンティーク]オメガ スピードマスター プロフェッショナル 5thモデル 145022-69 ST ブラック メンズ

[未使用]オメガ スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル コーアクシャル マスター クロノメーター クロノグラフ 310.30.42.50.01.001 ブラック メンズ

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オメガ スピードマスター新旧モデルの違いを徹底比較

【オメガ】スピードマスターがスウォッチに登場!!その名もムーンスウォッチ爆誕!!

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この記事の監修者

小池 豪 (こいけ たけし)
小池 豪 (こいけ たけし)
好みの時計:ダイヤモンドが多くセットされているゴージャスな時計
1971年11月11日産まれ
東京都中野区出身

業界歴:24年
22歳イベント企画会社入社。
その後、総合商社に総合職で入社、平日は経理、土日祝は地方営業。
その後、学生時代の知人に頼まれ厨房設備の運搬設置業に携わる。
2001年、某有名店社長と出会い、時計業界に誘われる。
2007年に独立し、現在に至る。
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