こんにちは、中野ブロードウェイの時計店「れんず」です。

様々なモデルを取り揃えるオメガの中でも、最も有名で人気のあるモデルといえば、なんでしょう。
それは、「スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル」。
もしかすると異論がある方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ほとんどの方が「そうだね」と同意して頂けるのではないでしょうか。
当店でも何度も仕入れ、そして何度も売れていったお時計です。
では、何故そんなに人気なのか?
スピマス ムーンウォッチを購入する人は、どこに惹かれているのか?
本記事では、その理由をじっくり解説しております。
ちょっと興味がある方も、スピマス愛好家の方もぜひお楽しみください。
歴史で分かるスピードマスター ムーンウォッチの魅力

初代スピードマスターが生まれたのは1957年。
少しずつアップデートを重ねて、現在は2021年に登場した第8世代が最新版となっております。
本記事は2026年に執筆しているので、来年で70周年ですね。(70周年記念モデルとか出ますかね??またはモデルチェンジが入って早速この記事が古くなる可能性に、少し怯えています)
初代モデル:Ref.CK2915
登場した1957年の時点では、スピードマスターはレーサー向けのプロフェッショナルモデルとして誕生しました。
シーマスター300やレイルマスターと同時に登場した、歴史的モデルです。
製造時期によって裏蓋の内側に彫られた刻印が「2915-1」「2915-2」と枝分かれしています。
最初期の「CK2915-1」は「幻のモデル」「聖杯」と呼ばれるほど希少価値が高く、2021年に開催されたオークションでは、約3億8700万円で落札されたという記録が残っているほどです。
第2世代:Ref.CK2998

△ ファーストオメガインスペース(310.30.40.50.06.001)
1957~62年で製造されたCK2998。
初代モデルでは短針が矢印のような形の針(ブロードアロー針)でしたが、第2世代からはアルファ針に変更されました。
ちなみに、「ファーストオメガインスペース」というモデルは、この第2世代をベースにデザインされています。
第3世代:Ref.ST105.003
製造期間は1962~66年。
第3世代目であるST105.003が、NASAの厳しい試験をクリアします。
これにより、スピードマスターは後の月面着陸の瞬間に立ち会うこととなりました。
こうして「ムーンウォッチ」の称号を手に入れたスピードマスターは、この第3世代や次の第4世代を土台として改良を重ねていきます。
第4世代:Ref. ST145.012
製造期間は1966~1968年。
リューズガードが増え、針も真っ直ぐなバトン針に変更。
NASAに正式採用されたことから、「Professional」の文字が増えています。
また、現在のスピードマスターはこの第4世代を元にデザインされているため、現行モデルとST145.012は結構そっくりです。
もちろん、細かく見ていけば全然違いますけどね!
初代~第4世代は、Cal.321というムーブメントを搭載しています。
2020年には、Cal.321を忠実に再現したムーブメントを載せたヘリテージモデルも登場しています。
第5世代:Ref.ST145.022
製造期間は1968~1996年頃。
この第5世代では、ムーブメントがCal.861に変更されました。
結構長めな製造期間の中で、細かいマイナーチェンジが多かった代になります。
ようやく、当店でもお買取り&販売させて頂いたことがある型番になってきました。
第6世代:Ref.3570.50/3572.50/3573.50

△ 3570.50
製造期間は1996~2014年。
3570.50はソリッドバック+プラスチック風防。
3572.50はシースルーバック+プラスチック風防。
そして3573.50はシースルーバック+サファイアクリスタル風防。
3572の後継機に3573が入る形になります。
見た目は大きく変わらないまま、ムーブメントがCal.1861(Ref.3572/3573ならCal.1863)に進化しました。
トリチウム夜光からスーパールミノバに変わり、実用性がぐんぐん上がっています。
シースルーバック仕様を用意し始めたのもここからと思われます。
第7世代:Ref. 311.30.42.30.01.005/311.30.42.30.01.006
2014~2021年まで製造。
型番の末尾で005はソリッドバック、006はシースルーバックです。
現在と同じ形式の型番になったことと、大きな黒い専用ボックスを始めとする、スピードマスター専用の付属品が付くようになりました。
ブレスレットのコマが大きく厚くなったことも変更点のひとつです。
ムーブメントは005にCal.1861、006にCal.1863が搭載されています。
先程から何故ムーブメントまで違うのかというと、シースルーバックの方は「見せる用ムーブメント」として、しっかり外面を整えているためです。
ちなみに、当時の価格は57万円前後。
今聞くとかなり安く感じますが、当時も「高くなったなー」と感じた人が多かったはずです。
つまり5年後10年後には……。
どうなることやら。
第8世代:310.30.42.50.01.001/310.30.42.50.01.002
2021年から続く現行品。
マスタークロノメーター認定を受けたのはこの代からです。
001がソリッドバック+プラスチック風防。
002がシースルーバック+サファイアクリスタル風防です。
ムーブメントはどちらもCal.3861で統一。
専用付属品の数は減ってしまいましたが、専用ボックスと特別な冊子が付属します。
価格はぐんぐん上昇し、2026年7月現在の国内定価は1,166,000円(001)、もしくは1,342,000円(002)(どちらも税込)。
タイムスリップしてきたオメガ愛好家がいたらめちゃめちゃ驚くのではないでしょうか。
需要が高まり、人件費等の諸々のコストも上がり、物価も税金も上がっていく一方で、お賃金だけ思うように上がっていかないですからね。
どうしても買いづらい状況になってしまっていることは間違いないでしょう。
*
最初はレーサー、次に宇宙飛行士。そして今、あなたのもとへ。
店頭で「スピードマスター プロフェッショナル ムーンウォッチ」をお求めの方は、この歴史を既にご存じの方も多いですね。
スピードマスターが積み上げてきた歴史そのものを好む方もいれば、ムーンウォッチとしての物語に惹かれる方。
長い製造期間の中で生まれた細かいディティールを楽しんでいる方もいらっしゃいます。
60年以上愛され続けてきたスピードマスター ムーンウォッチ。
純粋にビジュアルが格好良いだけではないのです。
現行モデルの「001」と「002」、どっちが人気?
店頭スタッフに聞いてみたところ、「体感では002の方が人気」とのこと。
当店の公式サイトでの取扱数(商品ページ数)を見比べてみても、001が46件、002が118件と、大きく差が開いておりました。
店頭で「どちらにしようかな」と悩む方は少なく、どちらかに決め打ちしてご来店なさる方も多くいらっしゃるようです。

ふたつの違いは?

おさらいになりますが、ふたつの型番の違う点は以下の通り。
310.30.42.50.01.001は裏蓋がソリッドバックで、風防がプラスチック製。
310.30.42.50.01.002はシースルーバックで、サファイアクリスタル製の風防です。
国内定価は若干002の方が高いですね。
サファイアクリスタルの方が高価なので、純粋に素材の価格差が出ているように思います。


また、ブレスレットの細いところがサテン仕上げなら001、鏡面仕上げなら002ですね。
逆に言えば、これ以外は同じです。(いや、全く同じと言い切るとそれはそれで語弊がありますが)
高級腕時計ならではのギラギラ感が少なく、スポーティながらスマートなムーンウォッチ。
同じムーブメント、同じ付属品、同じ文字盤のデザイン。
「見た目が同じなら少しでも安価な001の方が買っていく人が多いのでは?」なんて思ってしまいますが、実際はその逆のようです。
一体どこに違いを見出されているのでしょうか。
やっぱりムーブメントを見たい

機械式時計にハマった人は、ムーブメント観賞にもハマる方が多いです。
機械式時計を構成する、細かく噛み合った歯車たち。
シースルーバックのモデルは「ムーブメントを見てもらおう」とわざわざ別のキャリバーを用意するほど、メーカーサイドも見られることを意識して作ってきました。
腕時計としての有用性はもちろん、裏面から機構を覗いて愛でることができるのは、シースルーバックモデルならでは。
少し値段が上がるとしても、どちらにせよ高い買い物なんだから満足度が高い方を選ぶ。
これって自然な選択ですよね。
透明だけど、意外と違いが出る風防

△ 1枚目が001、2枚目が002です。
風防、つまり文字盤を覆う透明なガラス部分のこと。
001は当時の質感を出すため強化プラスチック製であるのに対し、002はサファイアクリスタル製です。
サファイアクリスタルは透明度が高く、熱や傷にも強いことから、ほとんどのブランドが風防に用いています。
強い衝撃を受けると割れてしまう場合もあるのですが、細かい擦れ傷には強いです。
プラスチック風防(プレキシガラス)は、素材が安価で加工しやすく、かつての主流でした。
傷が付いてしまってもポリッシュで綺麗にできることや、衝撃で割れにくい点が評価されています。
プラスチック風防ならではのテイストを気に入っている方も多くいらっしゃいますが、「日常での細かい傷を気にしなくていい」という点で、002を選ぶ方が多いようです。
写真だとなかなか伝えにくいのですが、風防のふっくら加減や光の反射加減が異なります。
どちらが優れている、というわけではないですよ。もちろん!
ムーンウォッチは派生モデルも人気
定番の黒い001・002から少し変化したモデルも、高い人気を得ています。
リバースパンダ 310.30.42.50.01.004
2026年に登場した、黒地に白目のインダイヤルを持つ「リバースパンダ」。
定番モデルよりも存在感があり、格好良いです!
白文字盤 310.30.42.50.04.001
2024年に登場した、白文字盤のスピードマスター ムーンウォッチ。
爽やかな白文字盤は現在でも人気が高いです。
まとめ
さて、スピードマスター ムーンウォッチの魅力、じんわり伝わってきたのではないでしょうか。
ムーブメントが見たい方や、現在主流のサファイアクリスタル製がいい方は002。
ムーンウォッチの歴史を重んじ、当時の質感が欲しい方は001。
どちらに魅力を感じるかは人それぞれ。
当店では310.30.42.50.01.001も、310.30.42.50.01.002も、その他の派生モデルもお取り扱いがございます。
ぜひ店頭で手首に乗せて、比較してみてくださいね。
NY
◆ その他のおすすめ記事 ◆
この記事の監修者

-
好きなブランド:全般。あえてあげるならブレゲです。
1987年生まれ、埼玉県出身
日本時計輸入協会認定 ウオッチコーディネーター(CWC)
業界歴:2012年より時計業界に従事
20歳でアパレル業界へ入り、服飾販売員として勤務をしたのち、かねてより興味のあったブランド業界へ。
時計だけでなくジュエリーやバッグ等、ハイブランド商品をオールジャンルで取扱う某社にて経験を積んでいく過程で時計の奥深さに惹かれ、時計部門の責任者となる。
れんず入社後、店舗販売スタッフとして従事したのち店長を経て、2023年11月から統括責任者として就任。
最新の投稿










