こんにちは、中野ブロードウェイの時計店「れんず」です。
厚くて大きいクッション型ケースを持つモデルを多数ラインアップするパネライ。
コレクション数は比較的少なめで、現在は「ルミノール」「ラジオミール」「サブマーシブル」「ルミノール ドゥエ」の4つで展開されています。
その中の「ルミノール」コレクションには派生モデルが多く、「ルミノール ○○」といった名前のお時計が沢山存在しています。
ということで、そんなルミノールコレクションにて展開されているシリーズの違いについて、ご紹介していきたいと思います。
▶ ルミノールコレクション
レバーロック式のリューズプロテクターが特徴的なルミノール。
トリチウムをベースとした夜光塗料「ルミノール」を使っていたことから、そのまま名付けられたコレクションです。
血液に強く反応して光る「ルミノール反応」のルミノールと同じ名前ですが、別の物質です。
パネライウォッチの風防を割って血をかけても光りませんよ。
ちなみに、パネライはスイスで製造を行うスイス時計ブランドですが、元々創業地はイタリアであり、デザイン部門もイタリアに拠点があります。
そのため、モデル名はイタリア語で名付けられています。
なかなか聞き慣れない単語が多く出てくるのはこのためです。
ルミノール ベース
△ PAM00112
長針と短針のみという、基本的に最もシンプルなデザインをしているのが「ベース」です。
「ベース」という名の通り、最もベーシックで最もルミノールらしさを味わうことができるシリーズです。
△PAM00915(秒針あり)/PAM00914(秒針なし)
例外として9時位置にスモールセコンドを備えているモデルや、8日間ものパワーリザーブを備えるモデルもあります。
このPAM00915に関しては、後述する「マリーナ」を元として作られたモデルなので、「ベース」なのに秒針付き、というデザインになっています。
→ 一番シンプルなのが「ベース」
ルミノール マリーナ
△ PAM01028
9時位置にスモールセコンド、3時位置にデイト機能を持つのが「マリーナ」です。
その利便性の高さから、非常に高い人気を得ています。
△ PAM00070(左)/PAM00001(右)
デイトの位置に拡大鏡が備わっていたり、デイトがなかったりするモデルもあります。
また、他モデルより少しだけ防水性能が高かったりもします。
元々海軍へ納品する為の時計を作っていたパネライらしいネーミングですよね。
「デイトがないマリーナ」と「秒針があるベース」、かなり同じに見えます。
このシリーズ分けには一定のルールこそあるものの、バージョン違いやモデルの成り立ちによって結構例外が生まれることが多いようなので、「割とルールが緩い」ということは念頭に置いておいた方がよいかもしれません。
よろしくお願いします。
ちなみに。
「ルミノール マリーナ ミリターレ」というモデルもあります。
△ PAM00217 12時位置に「ミリターレ」の文字がありますね。
ミリターレ(militare)は「軍の」という意味。
基本的に「ルミノールマリーナ」の後に付き、パネライがイタリア海軍へ軍用時計を納品していた歴史を継承していくための特別なモデルに付けられていました。
最近ではサブマーシブルの方にも「ミリターレ」と付いているモデルが出てきています。
→ デイトと秒針があると「マリーナ」。「ミリターレ」が付く特別モデルもある。
ルミノール ロゴ/ルミノール ベース ロゴ
△ PAM01084(左)/PAM00000(右)
6時位置に「OP(オフィチーネ・パネライ)」ロゴを備えているのが「ロゴ」です。
スモールセコンドがあれば「ルミノール ロゴ」、なければ「ルミノール ベース ロゴ」という扱いになります。
1972年にCEOが変わり、「オフィチーネ・パネライ」が正式なブランド名となってから約20年後。
1993年、軍事機密指定が解除され、一般市場向けにルミノールやルミノール マリーナなどのモデルを公開したパネライは、この「OPロゴ」を一部モデルの文字盤に入れていました。
このロゴは1997年、ヴァンドームグループ(現リシュモングループ)に加入するまで使われました。
そこから時が流れて2004年。
パネライは、かつて用いていたOPロゴを再び採用した「ルミノール ベース ロゴ PAM00000」「ルミノール ロゴ PAM00005」を発表しました。
プレヴァンドーム時代である4年の間に使われたロゴを用いたこれらのシリーズは、復刻モデルのような趣があります。
ルミノールの中では比較的手の届きやすい価格で販売されるようになり、クラシカルなエントリーモデルとして現在も愛されています。
なお、「ロゴ」は基本的に裏蓋がスケルトン仕様ではなく閉じられており、裏蓋にもOPロゴが刻まれています。
→ ロゴが入ると名前にも「ロゴ」が付く
ルミノール 1950/ルミノールマリーナ 1950
△ PAM00663(左)/PAM00312(右)
ぱっと見た感じでは「ベース」と「マリーナ」に見えますよね。
「1950」は、文字盤の中身ではなく、ケースの話です。
横から見た図を並べてみましょう。
左が「1950」じゃないケース、右が「1950」のケースです。
ラグの形やケースの端の方を見ると分かりやすいのですが、右の写真の方がちょっと丸いです。
これが「1950」のケースです。
よりクッション感が増しますね。
ケースによって分類されるので、文字盤の顔つきはかなり多様です。
1950年頃にパネライが出していたルミノールのケースを元に作られているので、この名前がついています。
マリーナの要素があれば「ルミノール マリーナ 1950」、なければ「ルミノール 1950」として扱われています。
→ ケースが若干丸いのが「1950」
ルミノール サブマーシブル
△ PAM00024
かつてはルミノールの派生モデルだった「サブマーシブル」。
2019年にルミノールから独立し、ひとつのコレクションとして成長していきました。
回転式ベゼルや丸いインデックスが、現在のサブマーシブルに繋がる要素として確認できますね。
→ 回転式ベゼルを備えた「ルミノール サブマーシブル」。現在はひとつのコレクションとして独立。
ルミノール ドゥエ
△ PAM01123
ルミノール ドゥエは、「ルミノール」と名が付いてはいますが、派生モデルではありません。
最初から別コレクションとして作られた、「第2世代のルミノール」です。
「ドゥエ」はイタリア語で「2」を指す言葉です。
ルミノールとしてのデザインはそのままで、薄くて軽めなケースを採用していることが特徴です。
パネライならではの「デカ厚」から少し離れ、時代に合わせたコレクションとして2016年に誕生しました。
これまで「デザインは好きだけど、自分には大きすぎて……」と敬遠してきた方でも、このドゥエによって選べるようになったのです。良いことです!
機能の名前
搭載している機能や、ケースに関する情報が後ろに付いているパターンも多いです。
これらはルミノールだけでなく、サブマーシブルやラジオミールのモデル名にも付きますが、折角なので一緒にご紹介します。
ルミノール クロノ
△ PAM01218
クロノグラフがついていたら「クロノ」です!!
分かりやすくて良いですね。
ルミノールはリューズプロテクターが3時側のケースサイドに大きく陣取っているので、クロノグラフ用のボタンは9時側についています。
クロノグラフ針と積算計の色が揃えてあって、スモールセコンドはその邪魔をしないようにシンプルな色となっていることが多いです。
ルミノール GMT
△ PAM01033
GMT機能を搭載しています。
もうそのまんまですね。良いことです。
また、「BiTempo」という名称を使っていることもあります。
Biは「2」、Tempoは「時間」。
2時間……ではなく、「2つの時間」。GMT機能のことを示しています。
ルミノール ○○ ジョルニ
△ PAM01347 これは8日間のパワーリザーブを持つ「オット ジョルニ」。
ジョルニ(Giorni)は「1日、日々」を示すイタリア語。
英語でいう「Day」です。
つまり、この○○ジョルニは「○○日間」を示しています。
数日に渡るロングパワーリザーブを持つモデルの名前に付いていることが多く、○○にはイタリア語の数字が入ります。
ルミノール デストロ
△ PAM00026 このモデルは「レフトハンド」の名が付いています。
かなり恰好良い響きですね。
デストロ(destro)は「右の、右手の」という意味のイタリア語です。
右手に着けるための時計、すなわち、左利き向けモデルとなります。
「デストロ」と呼ばれることもあれば、「レフトハンド」と呼ばれることもあります。
ルミノール クアランタ
△ PAM01371
クアランタ(Quaranta)はイタリア語で「40」を意味します。
この名前は、ケースサイズが40mmのモデルに付いています。
なお、この「40mm」は、パネライにとっては小さめサイズとなります。
ちなみに「クアランタ クワトロ」だと「44mm」です。
素材の名前
アッチャイオ
△ PAM00631
アッチャイオ(acciaio)はイタリア語で「鋼鉄」。
ステンレススチール製のケースを持つ時計に付いていた名前ですが、多くのモデルがステンレスケースを持つためか、今のところ現行品に「アッチャイオ」と名の付くモデルがない状態ですね。
セラミカ(チェラミカ)
△ PAM01441
セラミカ、またはチェラミカ(ceramica)は、「セラミック」を意味します。
そうです。セラミック製のお時計のことです。
オロロッソ
△ PAM00511
「オロ ロッソ(oro rosso)」。イタリア語で「レッドゴールド」です。
レッドゴールド製のケースを備えていることを表しています。
オロが「ゴールド」を意味する単語で、ルミノール ドゥエの方には「トゥットオロ(tutto oro)」と名の付く金無垢モデルもあったりします。
ちなみに、「トゥット」は英語でいう「ALL」なので、「トゥットグリージョ」という全てがグレーに染まったモデルも存在しています。
最近はパネライが開発した「ゴールドテック」ばかり使用しているのであまり見かけませんが、かなり特徴的な名前ですよね。オロロッソ。
初めて見た時にカカロットっぽい名前!!と思ったのを今でも覚えています。
ゴールドテック/プラチナテック/カーボテック
△ PAM01112(ゴールドテック)/PAM01664(カーボテック)
パネライが開発した素材の名前です。
その名の通りゴールド/プラチナ/カーボンが使われており、ステンレスケースにはない雰囲気を楽しめます。
最近では「チタンセラミテック(Ti-Ceramitech)」という、チタンとセラミックの良いとこどりをした素材も使われるようになってきています。
パネライは新たな素材の開発にも意欲的なブランドなので、素材系の名前もきっと増えていきますよね。
このほかにも、「○○テック」という名前は全て「パネライが開発した素材を使ってるんだな」と考えればOKですよ。
現在は使われていない名称、別名があるもの、派生によって分類がややこしくなっているもの。
色々な「ルミノール」があることを学べましたね。
「ルミノール マリーナ 1950 3デイズ アッチャイオ」のように、合わせ技を使ってきている場合もありますが、ひとつひとつの単語を見ていけば、そのモデルがどんな特徴を持っているのか理解できるようになりましたね。
パネライウォッチの解像度がまたひとつ上がって、より興味と愛着が湧きました。
今後も注目していきたいと思います。
NY
この記事の監修者

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好きなブランド: 全般。あえてあげるならブレゲです。
1987年生まれ、埼玉県出身
日本時計輸入協会認定 ウオッチコーディネーター(CWC)
業界歴13年
20歳でアパレル業界へ入り、服飾販売員として勤務をしたのち、かねてより興味のあったブランド業界へ。
時計だけでなくジュエリーやバッグ等、ハイブランド商品をオールジャンルで取扱う某社にて経験を積んでいく過程で時計の奥深さに惹かれ、時計部門の責任者となる。
れんず入社後、店舗販売スタッフとして従事したのち店長を経て、2023年11月から統括責任者として就任。
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