ロレックス デイトジャストの「ターノグラフ」とは何?

  • 投稿日:2025年07月09日

こんにちは、中野ブロードウェイの時計店「れんず」です。

ロレックスの人気コレクション・デイトジャストには、「ターノグラフ」と呼ばれるモデルがあります。
現在では生産終了となっているモデルであり、新作発表前は「今年こそターノグラフ復活!」と願うファンの声を多く聞くほど、根強い人気を誇っています。
今回は、そんな「ターノグラフ」についてご紹介します。

TURN-O-GRAPH

ターノグラフとは、↑こういう↑見た目をしたロレックスウォッチです。
「ターノグラフ」という名前が最初に出てきたのは1953年ですが、サブマリーナーやエクスプローラーなどの人気コレクションの陰に隠れ、再び登場するのは2004年のことになります。

「TURN-O-GRAPH」と書いて、ターノグラフと読みます。
その最大の特徴は、両方向に回転するベゼル
ロレックスで最初に回転ベゼルを備えたのは、このターノグラフであるとされています。
ベゼルが回転してゼロに戻ることから名付けられた「TURN-O-GRAPH」。
ネーミングセンスが眩しいです。

▶ 「ターノグラフ」とは、ロレックス デイトジャストの派生モデルのひとつ。生産終了済。

滑らかに回転するベゼル

 
△ Ref.116264

ターノグラフのベゼルは、フルーテッドベゼルに目盛りと数字を加えたようなデザインをしています。
右にも左にも回すことができ、時針か分針に三角の印を合わせれば、経過時間を計れるようになっています。

サブマリーナー、GMTマスターII、ヨットマスターなど、今となっては回転ベゼルを備えるモデルも増えました。
そして、その多くが回すと「カチカチカチ」というクリック音が鳴ります。

しかし、ターノグラフはベゼルを回すとき、クリック音が鳴りません。
「ヌー…」といった感触です。

どうして回転ベゼルがあるのか?


△ Ref.16800

サブマリーナーのようなダイバーズウォッチは、潜水時間の計測にこの回転ベゼルを用います。
潜水を開始した時間(分針)に印を合わせれば、「そこから何分経過したか」が把握できますね。
もし、この潜水開始時間がずれてしまったら、残りの酸素量を勘違いしてしまう可能性があり、ダイバーの命に係わります。
そのため、ダイバーズウォッチの回転ベゼルには「逆回転防止機能」が備わっています。
逆回転防止ベゼルを回した際のクリック音は、ここから鳴っているのです。

では、GMTマスターIIやヨットマスターはどうでしょう。
これらのベゼルは左右どちらにも回転させることができますが、クリック音も健在です。


△ GMTマスターII 126720VTNR

GMTマスターIIは、ベゼルを回転させて時差をセットすることで、別の時間帯を把握することができます。

インデックスの場所に合わせてベゼルの数字がセットされている必要があるので、1時間刻みでベゼルが動きます。
時計を着けている間、このベゼルが動いてしまうと合わせた意味がなくなってしまいますね。
よって、誤作動を防ぐために軽くロックされている必要があります。

そのため、「両方向には回るけれども、勝手に動かないようになっている」というのがこのGMTマスターIIの回転ベゼルです。
軽いロックがかかっているので、回すときに低くクリック音が鳴ります。


△ ヨットマスター 126622

ヨットマスターも同じように、両方向に回転させて使用するベゼルを備えています。
海上スポーツを楽しむ人々に向けて作られたコレクションであるヨットマスター。
そのため、ベゼルはセーリングの際に経過時間を簡単に計測できるようになっています。

こちらも計測開始時間がずれてしまったら意味がありませんね。
よって、ベゼルに軽くロックがかかっており、回す際に高いクリック音が鳴ります。
GMTマスターIIもヨットマスターも、ずれてしまっても命に別状はないので、逆回転を防止する機能は備わっていません。

ロレックスの回転ベゼルって、音も手応えも良いんですよね。
用もないのに回したくなってしまう程に軽やかです。

 
△ スカイドゥエラー 336935(左)/ ヨットマスターII 116681(右)

ちなみに、スカイドゥエラーや2024年に廃盤となったヨットマスターIIは、「ベゼルを回すことでムーブメントと連動し、操作モードの切り替えをさせる」という特殊な働き方をします。
従って、これまで挙げたモデルの回転ベゼルとはまた違った回し心地です。

ベゼルって、奥が深いですね。


△ ターノグラフ 116264

では、今回のテーマであるターノグラフに話を戻しましょう。
ターノグラフは何故回転ベゼルを搭載しているのでしょうか?
それは、「特定の目的のために回転ベゼルをつけている」のではなく、まだ当時は回転ベゼルという技術をものにする段階であり、「回転ベゼルをつけること自体が目的だった」といえるのではないでしょうか。

現在のロレックスのコレクションを見れば分かる通り、回転ベゼルには多様な使い道があります。
そんな回転ベゼルを初めて搭載し、形にしたターノグラフ。
後の回転ベゼルを備えるコレクションの先駆けとなった、重要なモデルなのです。

統一感のあるカラーリング

ターノグラフのもうひとつの特徴は、文字盤の中に見ることができます。
秒針、「TURN-O-GRAPH」の文字、日付が赤で統一されていますよね。これです。

ターノグラフは、白/黒を始めとするダイヤルカラー、各色のゴールド、オイスターブレス/ジュビリーブレスと、ターノグラフは様々なパターンを備えています。
しかし、この赤で統一された部分はどのモデルにも共通しています。
恰好良いですよね!

なお、赤ではなく緑で統一したモデルも存在しています。
これは日本でのみ販売されていた、300本限定の更に珍しいモデルとなります。
赤は恰好良いですが、ロレックスのコーポレートカラーである緑を採用しているこちらのモデルも素敵です!

古いデイトジャストの中には「奇数の日は黒、偶数の日は赤」で日付を表示するものがあります。
ですが、ターノグラフは全日赤/緑となっています。

秒針に色が載っていることで、スポーティな要素も持っているターノグラフ。
奇抜なデザインではないのに他の人と被らない、丁度良い立ち位置のモデルだと思います。

針の上に色を載せているので、よく見るとぷっくりしていることが分かります。
可愛いです。

年下の先輩「サンダーバード」


△ デイトジャスト サンダーバード 16263

突然ですが、「サンダーバード」と呼ばれたモデルをご存じでしょうか。

こちらはターノグラフと同じく回転ベゼルを備える、デイトジャストの派生モデル。
1956年に初代モデルが登場し、モデルチェンジを続けながら2004年まで続いたロングセラーモデルでした。

ターノグラフと違って文字盤に「サンダーバード」の文字はなく、こちらは愛称としての名前であることがポイントです。
ちなみに、アメリカ空軍のアクロバットチーム「サンダーバーズ」の隊長の引退を記念して製作されたことから、この愛称がついたとされています。

第5世代まで続いたサンダーバード。
最後の型番はRef.16263(コンビモデル)とRef.16264(SSモデル)であり、2004年に登場したターノグラフの型番はRef.116264
型番から、ターノグラフはサンダーバードの後継機であることが分かります。


△ デイトジャスト サンダーバード 16264

先述した通り、初めて回転ベゼルを備えたのはターノグラフであり、その初出は1953年です。
先に生まれたのはターノグラフですが、一度休眠し、サンダーバードの後継機として再登場していることから、「サンダーバードはターノグラフにとって、年下の先輩」といえるのでは。

まとめるとこんな感じですね。
先の表現がしっくり来たかどうかはさておき、ターノグラフのように回転ベゼルを持った、似ているデイトジャストがあったんですよ!というお話でした。

サンダーバードもなかなか個性的なビジュアルですよね。
ベゼルが外見に与えている影響は、結構大きいことが分かります。

まとめ

◆針・ロゴ・日付表記が同じ色で統一された、両方向回転ベゼルを持つデイトジャストの派生モデル。
◆ステンレスモデルはなく、イエロー・ホワイト・ローズゴールドのコンビで展開される。
◆「サンダーバード」と呼ばれるデイトジャストと近い関係にある。
◆初代モデル(Ref.6202)は1953年に登場しており、ロレックスで初めて回転ベゼルを備えたモデルである。
◆2013年に生産終了して以来、ファンからは復活を待ち望まれている。

これが「ターノグラフ」です。
またひとつ、知識が増えましたね!

当店でも、時々ターノグラフをお買取りすることがあります。
「人と違うロレックス」をお求めの方にはぴったりなターノグラフ。
もし店頭で出会えたら、ぜひ手首に載せてみてくださいね。

→ 現在、ターノグラフの在庫があるか確認する

NY


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この記事の監修者

青木
青木
好きなブランド:全般。あえてあげるならブレゲです。
1987年生まれ、埼玉県出身
日本時計輸入協会認定 ウオッチコーディネーター(CWC)
業界歴:2012年より時計業界に従事
20歳でアパレル業界へ入り、服飾販売員として勤務をしたのち、かねてより興味のあったブランド業界へ。
時計だけでなくジュエリーやバッグ等、ハイブランド商品をオールジャンルで取扱う某社にて経験を積んでいく過程で時計の奥深さに惹かれ、時計部門の責任者となる。
れんず入社後、店舗販売スタッフとして従事したのち店長を経て、2023年11月から統括責任者として就任。
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