なんで機械式時計はスイス産が多いの?

  • 投稿日:2023年05月29日

こんにちは。中野ブロードウェイの時計店「れんず」です。

突然ですが、高級時計ってMADE IN SWISS多くないですか?
ロレックスも、オメガも、タグホイヤーも。下の方に誇らしげに「SWISS MADE」の文字が見えます。

この広い世界の中で、どうしてスイスなのでしょうか。
疑問に思った私は、聞いてみました。最近よく話題に上がるchatGPTさんに!

私「なんでスイスで時計産業が発展したんですか?」


見えますでしょうか?
ご覧になっている端末によっては「ちっさ!」「でか!」みたいなことが起きているかもしれませんが、「めっちゃ理由挙げて答えてくれた」ということが伝わればOKです。

さて。めちゃめちゃしっかり答えてくれました。嬉しい!!
しかし、これを読んで「おk」と鵜呑みにしてしまうのはよくありませんね。
大きく4つの話を挙げてくれたので、ひとつずつじっくり確認してみることにします。

スイスは地理的に向いている

アルプス山脈とジュラ山脈が国土の7割を占めているスイス。
普通の真っ平な土地に比べれば、「山岳地帯は農業や他の産業に制約を課すことがある」という言葉にも頷けます。機械式腕時計は職人たちによる手作業で作られていくため、他より山岳地帯によるお仕事へのマイナスがなかったようですね。
しかも、山に囲まれたスイスには雪解け水や清澄な湧き水があり、森林なども多い為空気が綺麗です。確かに、地理的に向いていると言ってよさそうです。

なんで綺麗な空気と水があるといい?

機械式時計のケースの中には、100を超えるパーツが収まっています。(宇宙みたいですね!)
小さな歯車やネジなどが上手く噛み合って機能しているのですが、このパーツを作るとき、どうしても細かなゴミが付いてしまいます。金属の削りかすだったり、空気中の塵だったり。

正直ぱっと見は分からないような本当に微細なゴミなのですが、これらが付着したまま時計の中に入れてしまっては故障の原因になってしまいます。

これを綺麗に洗い流すために、を使います。この時の水が汚かったら本末転倒ですよね。
不純物が限りなくゼロに近い綺麗なお水が、時計作りには欠かせない材料の一つなのです。
そして、そもそも空気中にゴミが少ない方がよいので、綺麗な空気も大事!というわけです!

★日本では長野県が有名ですね。自然に囲まれ、清らかな土地でムーブメント製造を行う場所として、東洋のスイスと評されることもあるみたいです。素敵ですね。観光に行きたいです。

参考: https://www.nishiki-seiki.co.jp/fan_contents_06.html

宗教改革の影響を受けた

ふむ。調べました。

1562-98年。スイスのお隣の国、フランスでユグノー戦争と呼ばれる宗教戦争がありました。
旧教徒のカトリックと、新教徒のプロテスタントの一派(ユグノー)による戦争で、スペインはカトリック、イギリスはユグノーを支援していました。

なんだ?スイスは?と思う方もいるかもしれませんね。もうちょっと聞いてください。

この戦争、最終的にはナントの勅令という王様からの「どっちでも好きな方を信仰したらよくない?」という号令により戦争は一旦終結しました。
しかし、その後も基本的にカトリック側が優勢であり、ユグノー派への迫害なども行われていたようです。

そんな情勢に耐え兼ね、スペインとは逆のスイスの方へ逃げ出す人々も多くいました。
もちろんスイスだけでなく、ドイツやイタリアにも同じように難民が流れ込んでいたことと思います。

当然、逃げた先で生きていくにはお仕事をする必要がありますね。
同じヨーロッパのお隣同士とはいえ、異なる文化が入ってくると育つものもあると思います。
逃げ込んできた人々の持つ技術や知識などが、スイスに影響を与え、時計業界にもその恩恵があり、発展へ繋がった
そういう風に考えてよさそうです。歴史の授業みたいで面白いですね!

★更に考えると、1815年から永世中立国として身を固めていた上に攻めづらい地形のスイス。
(結果的には)世界大戦の影響を他国ほど受けなかったんですよね。
他国が戦争をしている間、自国の文化や技術を高めていたとも考えられそうです。

参考: https://museum.seiko.co.jp/knowledge/relation_06/

スイス人の職人魂

国民性という言葉がありますね。
土地の形状、過去にどういうことがあったか、育ちやすい作物や動物などが影響し、その国の人が共通して持ちやすい特徴と捉えればよいと思います。

もちろん今は多様性の時代であり、国民性や「らしさ」に囚われない考え方が流行っていますが、それでもなんとなく、根底には文化による個性の似通りがあるかと思います。

そんな前置きをした上で、「スイス人は職人気質である」と2023年のAIは判断しました。

実際、現在のスイスには数々の有名時計ブランドが存在し、高精度・高品質な機械式時計が多数生み出されています。
先程出てきた地理的な優位性も含めて、「向いていた」のだと思います。

高い品質基準を持っている

こちらはある程度時計業界が発展した後の話でしょう。
COSCMETASのような公的なテスト機関が存在し、あらゆるブランドがその認定証を求めてテストを受けに来るのですから、信頼性が窺い知れますね。

今でも、スイス時計は高品質であるというイメージが皆さんの中にもあると思います。
スイス全体でのブランドイメージというとまた違うかもしれませんが、日本がメイドインジャパンを誇るように、スイスもMADE IN SWISSを誇りに思っていることでしょう、恐らく!

ちなみに、COSCについて他スタッフがブログにしていましたので併せてどうぞ。

スイス公式クロノメーター検定機関C.O.S.C.とは?

 

参考: https://www.tudorwatch.com/ja/inside-tudor/watchmaking/metas-certification

機械式時計産業がスイスで発展した理由。

そうなるべくしてなったような、偶然や運命といった類だったような。
そんな気持ちになりました。めちゃめちゃ遡ればどんな話も「宇宙とは」みたいな領域の話に辿り着いてしまうので、ざっくりとまとめますとこんな感じの話でした。

・時計作りに適した環境があり、国民性もまた時計産業に合っていた
・時計作りに関するノウハウや技術等を得る機会があった
・ある程度機械式時計が広がっていった後も、高品質な時計作りに努めていた

→ これらの要因が重なり、スイスが機械式時計業界のリーダーとなっていったようです。

一種のレポートのようになってしまいましたが、色んなことを知ることができて私は満足です。
はじめに自分で調べてみようと思って出せたのは「水と空気が綺麗だから」というところまでで、まだまだだなと!思いましたね!!
今後も知見を広めて深めていきたいと思います。

ちなみにchatGPTの使い心地ですが、「過去のことで知りたいことを聞く」「人に説明するにはややニュアンスが微妙だけど知りたいことがある」みたいな時に使うとめっちゃ便利~~!と感じました。
ただ、誤った情報も出てしまうようなので、冒頭にも書いた通り鵜呑みにはせず、自分で改めて検索しつつ今後も使っていきたいですね。皆様もぜひ。

ただ、気になったことを無限に聞き続けてしまう&答え続けられてしまうので、沼かもしれません……!

今回は、ここまででおわりにしておきます!

 

NY

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