ヴァシュロンコンスタンタン 2025年の新作情報! 創業270周年を飾る記念モデルが多数発表【W&W2025】
こんにちは、中野ブロードウェイの時計店「れんず」です。
毎年行われる世界的大型イベント、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ。
2025年は4月1日~7日の期間で開催されることが決まっています。
こちらの記事では、ヴァシュロンコンスタンタンの新作情報をまとめております!
★2025年1月の時点で、ヴァシュロンコンスタンタンからは既に新作がひとつ出ております!!
創業270周年のスタートを飾る「ヒストリーク222」に関しては、別で記事を作成しておりますので、併せてご覧ください。
270周年記念の限定モデル
創業270周年を記念して、「トラディショナル」コレクションと「パトリモニー」コレクションから、8つの限定モデルが登場しました。
トラディショナルから4モデル、パトリモニーから4モデルです。
ふたつのコレクションは元々ひとつだったこともあって似ていますが、微妙に異なるコンセプトを持っています。
かつての名作を現代風に再解釈し、蘇らせるのが「パトリモニー」コレクション。
そこから派生して生まれた、特定のモデルの再現ではなく伝統的な技術や意匠を意識してデザインされているのが「トラディショナル」コレクションです。
トラディショナル マニュアルワインディング
まずはこちら。
2針+スモールセコンドのシンプルなトラディショナルです!
△ 82172/000P-H062
文字盤のデザインが何やらスタイリッシュで素敵……と思って線を目で追うと、7~8時位置に刻まれたマルタ十字に辿り着くことができます。
記念モデル感が強くて良いですね!
このマルタ十字をモチーフとした模様は「コート・ユニーク」仕上げと名付けられています。
△ 82172/000R-H118
プラチナケースとピンクゴールドケースの2種類から選べます。
画像だとシルバー文字盤と相性が良さそうなのはプラチナの方に見えますが、実機を見たらまた意見が変わりそうな気もします。
更に、33mmのレディース向けモデルも登場しました。
マザーオブパールの文字盤に、先程の2モデルとはまた違ったデザインのコート・ユニーク仕上げが施されています。
7~8時のマルタ十字も、さりげなく健在です。
針やインデックスの形も38mmモデルとは異なっており、エレガントな魅力が増していますね。
アリゲーターストラップには、赤紫にも似た濃いピンク色が採用されているため、過度に可愛らしくなりすぎず、高級感のある仕上がりです。
商品詳細
モデル名:トラディショナル マニュアルワインディング
型番:82172/000P-H062(プラチナ)/82172/000R-H118(ピンクゴールド)
ケース径:38mm
ムーブメント:手巻きキャリバー4400 AS/270
素材:プラチナ/ピンクゴールド
文字盤色:シルバー
防水性能:3気圧防水
ストラップ:グレーのアリゲーター
◆370本限定
◆ジュネーブシール取得
モデル名:トラディショナル マニュアルワインディング
型番:1405T/000R-H061
ケース径:33mm
ムーブメント:手巻きキャリバー1440 /270
素材:ピンクゴールド
文字盤:ホワイトマザーオブパール
防水性能:3気圧防水
ストラップ:ピンクのアリゲーター
◆270本限定
◆ジュネーブシール取得
トラディショナル ムーンフェイズ
こちらは先程のレディースモデルにムーンフェイズを備えた、36mmのトラディショナル!
ベゼルだけでなく、ラグにもダイヤモンドがセットされていますね。
ホワイトマザーオブパールの文字盤上に広がるコート・ユニークの仕上げを辿っていくと、2時位置のロゴに繋がっていることが分かります。
こういう演出、私はとっても好きで~~す!
リューズにもダイヤモンドがセットされていて、華やかにまとまっています。
ストラップの色に合わせて、ムーンフェイズの空や目盛り、ブランドロゴの色も同じようなピンク色に染まっています。可愛いです。
商品詳細
モデル名:トラディショナル マニュアルワインディング
型番:83570/000R-H060
ケース径:33mm
ムーブメント:手巻きキャリバー1410 AS/270
素材:ピンクゴールド
文字盤:ホワイトマザーオブパール
防水性能:3気圧防水
ストラップ:ピンクのアリゲーター
◆270本限定
◆ジュネーブシール取得
この2本、母と娘っぽさがあると思います。
パトリモニー オートマティック
お次はパトリモニーコレクションからの4本です。
自動巻きムーブメントを搭載した「パトリモニー オートマティック」からは、ピンクゴールドとホワイトゴールドモデルが登場しました。
トラディショナルに比べてレイルウェイ目盛りがない分、こちらの方が文字盤が広々としていて大きく見えるぞ!と一瞬思ったのですが、普通にケースサイズが大きかったです。
こちらのモデルは40mmのケースを持っています。
△ 85180/000R-H116
ダークグリーンのストラップも素敵ですよね。
かっちりとした優等生のような雰囲気で、このシンプルなモデルの魅力を引き立てていると思います。
△ 85180/000G-H035
こちらにも、ばっちりコート・ユニーク仕上げが入っています!
商品詳細
モデル名: パトリモニー オートマティック
型番:85180/000G-H035(ホワイトゴールド)/85180/000R-H116(ピンクゴールド)
ケース径:40mm
ムーブメント:自動巻きキャリバー2450 Q6/270
素材: ホワイトゴールド/ピンクゴールド
文字盤: シルバー
防水性能:3気圧防水
ストラップ:ダークグリーンのアリゲーター
◆370本限定
◆ジュネーブシール取得
パトリモニー ムーンフェイズ レトログラード デイト
レトログラード式のデイト表記と、ムーンフェイズを備えたこちらのモデルも登場しています。
2024年新作の振り返り時にも書きましたが、このデイトとムーンフェイズの半円が揃っているデザイン、好きですね。
数字のフォントが細身で、スマートな雰囲気に合っています。
エンブレムが線の中にぴったり収まっているところも好きです。
ぴったりって気持ち良いですよね。
ゴールド製の月はリアルな質感で作られています。
星の描写がないので、より月の存在が引き立てられていますね。
このムーンフェイズは、1度合わせれば次に調整するのは122年後という、高い精度を備えています。
商品詳細
モデル名: パトリモニー オートマティック
型番:4010U/000G-H057(ホワイトゴールド)/4010U/000R-H117(ピンクゴールド)
ケース径:42.5mm
ムーブメント:自動巻きキャリバー2460 R31L/270
素材: ホワイトゴールド/ピンクゴールド
文字盤: シルバー
防水性能:3気圧防水
ストラップ:ダークグリーンのアリゲーター
◆270本限定
◆ジュネーブシール取得
ヴァシュロンコンスタンタンは最古の機械式時計ブランドと呼ばれるほど昔から続いているブランドで、その積み上げてきた歴史を誇りに思っています。
△
エンブレムの「マルタ十字」もまた、その歴史の中で獲得した大切な遺産です。
270周年を迎えるにあたって、マルタ十字を大きく取り上げた限定モデルが出るの、嬉しいですよね。
なお、これまでのモデルと同じく、リューズや自動巻きローター、ピンバックル等にも、しっかりマルタ十字があしらわれています。
トラディショナル オープンフェイス
トラディショナルコレクションには、オープンワーク文字盤を備えた新作も登場しております。
パーぺチュアルカレンダー レトログラード デイト オープンフェイス
スタバのカスタム呪文のようにカタカナが続きますが、何を言っているのかは分かりますね。
搭載している機能を並べた名を持つこのモデルは、270周年記念モデルたちと同様に、コート・ユニーク仕上げが施されています。
文字盤は結構がっつりオープンワーク仕様にされていますが、ちゃんと10~11時からマルタ十字がこちらを覗いていますね。
12時側の中央、ブランドロゴの下にあるスペースを使わず、端の方にマルタ十字が配されているのは、「他と同じデザインで作っているから」ではなく「そっちの方がさりげなくて素敵だから」という解釈をしたいです。
△ 文字盤にブランドロゴがないので、風防にロゴがプリントされていることが分かります。
3時位置に月表示、4~5時位置にうるう年カウンター、9時位置に曜日表記があり、これらは透明なサファイアクリスタル製のディスクに文字が記載されており、ダークブルーの背景がある部分にぴったり文字が収まることで読み取れるという仕組みになっています。
かちっと文字が収まる瞬間を自分の手の中で見たいですよね。
このダークブルーの背景は、6時位置のムーンフェイズの背景と同じ色で揃えられています。
半円を描くデイトの数字と、それに対応したレトログラード針も青く、全体的に統一感のある仕上がりとなっております。
アリゲーターストラップも同じくダークブルーを採用しています。
商品詳細
モデル名:トラディショナル パーぺチュアルカレンダー レトログラード デイト オープンフェイス
型番:4030T/000P-H054
ケース径:41mm
ムーブメント:自動巻きキャリバー2460 QPR31/270
素材:プラチナ
文字盤: シルバー、オープンワーク
防水性能:3気圧防水
ストラップ:ダークブルーのアリゲーター
◆370本限定
◆ジュネーブシール取得
コンプリートカレンダー オープンフェイス
「コンプリートカレンダー」とは、曜日と月日の3つを揃えているカレンダーのことを指します。
フルカレンダー、トリプルカレンダーとも呼ばれます。
先程のパーペチュアルカレンダーと違ってうるう年カウンターがなく、曜日と月表示の位置が変わったことで、ブランドロゴがムーンフェイズのところに配置されていますね。
日付表記は文字盤の外周に配置されており、ポインターデイト式となっております。
商品詳細
モデル名:トラディショナル コンプリートカレンダー オープンフェイス
型番:4020T/000P-H038
ケース径:41mm
ムーブメント:自動巻きキャリバー2460 QCL/270
素材:プラチナ
文字盤: シルバー、オープンワーク
防水性能:3気圧防水
ストラップ:ダークブルーのアリゲーター
◆370本限定
◆ジュネーブシール取得
トゥールビヨン レトログラード デイト オープンフェイス
6時位置にトゥールビヨンと、レトログラード式のデイト表記を備えるモデルです!
風防の3時位置、6時のトゥールビヨンがある位置、文字盤の7~8時位置と、表面だけでも3つのマルタ十字を見つけられます。
中でも、6時位置のマルタ十字にネジが付いていますが、ひとつだけ青ネジですよね。
よく見ると、青ネジの先に三角形も見えます。
これはスモールセコンドなのです。
今作で初めて実装されたというわけではありませんが、面白い発想ですよね。
1分で1回転するマルタ十字型のスモールセコンドの後ろに、トゥールビヨンの回転も見ることができます。
ブランドロゴは風防にプリントされています。
こちらのモデルはオープンワーク文字盤なのに、くり貫かれた部分はかなりすっきりしているように見えますね。
商品詳細
モデル名:トラディショナル トゥールビヨン レトログラード デイト オープンフェイス
型番:6010T/000P-H055
ケース径:41mm
ムーブメント:自動巻きキャリバー2162 R31/270
素材:プラチナ
文字盤: シルバー、オープンワーク
防水性能:3気圧防水
ストラップ:ダークブルーのアリゲーター
◆370本限定
◆ジュネーブシール取得
トゥールビヨンの透け感を邪魔しないよう、ペリフェラルローターというリング状のローターが採用されています。
トラディショナル トゥールビヨン パーペチュアルカレンダー
3つのインダイヤルとトゥールビヨンを備えたトラディショナルです!
ディスクが動くのではなく、針が回って表示をするタイプのカレンダーですね。
こちらもトゥールビヨンと同軸にスモールセコンドが配置されております。
オープンワークではない分、コート・ユニーク仕上げをより楽しめますね。
ムーブメントは新しい自社製キャリバー2162 QP/270を搭載しています。
ジュネーブシールの他に、今回270周年記念モデルのムーブメントには、マルタ十字と「270」を組み合わせた刻印が施されています。
また、こちらもペリフェラルローターを使用しています。
商品詳細
モデル名:トラディショナル トゥールビヨン パーペチュアルカレンダー
型番:6300/000P-H056
ケース径:42mm
ムーブメント:自動巻きキャリバー2162 QP/270
素材:プラチナ
文字盤: シルバー
防水性能:3気圧防水
ストラップ:ダークブルーのアリゲーター
◆127本限定
◆ジュネーブシール取得
レ・キャビノティエ ソラリア ウルトラ グランドコンプリケーション ラ・プルミエール
見るからにとんでもないモデルも登場しております。
41の複雑機構を搭載した、ケース径45mm・厚さ14.99mmの腕時計です。
ヴァシュロンコンスタンタンは8年に及ぶ開発期間を経て、1521個のパーツで組み上げられた超複雑な機構を、腕に乗るサイズで実現しました。
15mmを切っていることをしっかりアピールしているこの「14.99mm」という表記。
相当頑張ったのだろうと窺えます。
14.99mm。1.5cmより薄いスペースに、およそ41の複雑機構が詰め込まれているのですよ。すごくないですか??
「およそ」と表現したのは、人によって「これは複雑機構とはいえないんじゃ?」「これはふたつの複雑機構が重なっているので1個じゃなくて2個だ」と、複雑機構に対する捉え方が異なる場合があるためです。気遣いというヤツです。
まずは表。
バーインデックスや真ん中の2針による時刻表示はいいとして、12時のインダイヤルには永久カレンダー(年月日、曜日、1年で1周する週カウンター)が入っており、そのダイヤルの左側には1~7の曜日番号を表示。
そしてうるう年の際はダイヤルの右にある小窓で表示する、という仕組みになっています。
この「曜日番号」とは、月曜を1、火曜が2……という風に、そのまま曜日を表す番号です。
曜日表記じゃダメなのか??と思って調べてみたところ、ISO(世界標準化機構)によって定められている、どの言語を使っていても通じる曜日表記、と捉えるのがよさそうでした。
確かに、世界の全員が英語を使うわけではないですもんね。親切です。
また、週カウンターも日本ではなかなか見かけない考え方ですね。
1年を週単位で捉えると、途端に人生が早く過ぎていってしまうような感覚になりますね。
52週間後には来年ですよ!と聞くと、次の年がすぐそこまで来ているような気がします。
3時のインダイヤルには、第2時間帯の時刻を指す2針、昼夜表記と設定中の都市の表示が備わっています。
外周には分目盛りまでついていますね。
9時位置にはムーンフェイズとブランドロゴ。
下の方に付いている波形は「マレオスコープ」というもので、月の引力によって起きる潮の満ち引きを表示したものです。
どのくらい潮が満ちているか、あるいは引いているかが分かる上、1か月に2回ある大潮・小潮のタイミングも表示されています。
HIGH・LOWで表示されている方が潮の満ち引き、緑の線で表示されている方が大潮・小潮を表しています。
STは「大潮(Spring Tide)」、NTは「小潮(Neap Tide)」のことです。
6時位置には、ざっくり言うと天文コンプリケーションが入っています。
実際、ほとんどの方が使わないであろう機能ではあるのですが、この超専門的な機構がぎゅっとひとつのダイヤルに詰まっており、ロマンを感じられます。
この6時にあるインダイヤルでは、「太陽の高さ」「均時差」「本当の南中時刻」「その時の星座」「春分・夏至・秋分・冬至の表示」「赤緯」を確認することができます。
ちなみに、右側にあるのはゴールド製の太陽です。
*
「HEIGHT」は高さ。
太陽が、地平線からどのくらいの高さにあるかを度数で表しています。
*
「TIME EQUATION」は均時差。
たまに他ブランドでも搭載していることがあるので、もしかすると聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、多くの方が「均時差って何?」と感じていると思いますので、少しだけご説明します。
別に興味ないぞ!という方は、さっくり読み飛ばしちゃってくださいね。
東から昇り、南を通って西へ沈んでいく(ように見える)太陽。
太陽が真南に来た瞬間が最も高い位置に太陽があり、これを「南中」といいます。
そしてその時間を、私達は正午として扱っています。
正午から次の正午にくるまでの時間って、24時間ですよね。
お昼の12時が次にやってくるのは、24時間後、翌日の昼12時です。
しかし、実際の太陽の動きはそんなにきっちりしていません。
地球が太陽のまわりを回る際、楕円形で回っている上、地球は少しだけ傾いた軸で自転していることも作用して、太陽が真南に到達する時間には毎日ブレがあります。
この時間のブレは、最大で15分前後。これが均時差です。
そのため、ブレた15分前後を示せる目盛りが付いています。
+10の位置に針があれば、実際の太陽が南中に来るときは正午より10分遅く来ているということが分かります。
△ 真ん中の地球に書いてある「N」「S」は北半球、南半球ですね。赤い線は赤道です。
左側、インダイヤルの外周には「CULMINATION」という文字と共に目盛りと針が用意されていますね。
意味は「南中」。
ヴァシュロンの説明的にも、これが「南中時刻」を表すものだと思われます。
「12H35」を中心として、±15の数字が用意されていますね。
均時差を示す針と一緒に動くことから、実際の太陽が南中する時刻を示すもの……であると考えられるのですが、私はここに引っかかっています。
南中時刻とは、場所や季節によって変わるもの。
しかも、「太陽の南中=(実際の太陽の動きとは異なるものの、)正午=12:00」として扱われているはず。
実際にはそこから15分前後ずれるので「11:45~12:15の間で示します」なら理解できるのです。
12H35、普通に考えれば「12:35」のことだと思うのですが、なんでこの時間なのでしょうか。
スイスの南中時刻に合っているとか? 11H45と12H15で全部書いちゃうとスペースを取るから?
それなら均時差の表記のように±15の目盛りでも良かったはず……。
手にする機会もきっとないような「ウルトラ グランドコンプリケーション」ウォッチなわけですが、「なんかめっちゃすごいらしいです」で終わらせたくなくて、調べ倒してみたものの!! ちょっと!! 私には分からなかったです!!!
もし「こうだよ!」「そこ間違ってるよ!」と分かる方がいればぜひ教えてほしいです。
よろしくお願いします。
*
さて、インダイヤルの下部には、シルエットで星座が描かれています。
一目で今が何座に該当するかが分かります。
ちなみに、よく占いで見かける「黄道十二星座」ですが、実際の黄道上にはもうひとつ「へびつかい座」というものが存在しています。
今作では「13星座」との記載があったので、このへびつかい座も仲間に入っているようです。
そして、そのディスクの上には4つの季節(節気)を示すワードが記載されていますね。
EQは分点(equinox)を指しています。春分、秋分のことです。
*
「DECLINATION」は「赤緯」。
ゴールドの太陽と向き合うようにして配置された針と「23.4度」の表記は、「赤緯」というものを表しています。
これは「地球から見て、太陽がどのくらい北/南にいるか」が分かるものです。
夏至のときは北寄りの最大+23.4度、冬至の時は南寄りの最大-23.4度になります。
この度数は、地軸の傾きが23.4度であるところから来ています。
*
これらの天文コンプリケーションを、6時のダイヤルひとつで表示しています。
インダイヤルだけでは終わりません。
文字盤外周の8時から4時にかけて、表示窓があります。
黄色い目盛りと印は「日の出・日の入りの時刻」、赤い目盛りと印は「日照時間」、そして黄色い丸は「太陽の位置」を示しています。
4~5時にある270周年記念ロゴが可愛らしいですね。
さあ、これで表面の要素全てに触れられました。
この時計が持つ情報量の、3分の1くらいでしょうか。勘弁してください。
次は裏面のご紹介をいたしましょう。
裏には、宇宙が広がっていました。
これなるはヴァシュロンコンスタンタンが生み出した世界初の複雑機構。
その機能は「見たい星や星座が見えるようになるまでの時間を計算する」というもの。
スプリットセコンド・クロノグラフの技術を応用して作られており、星々が記されたサファイアクリスタルの下にはレッド、グリーンを用いた針が2本確認できます。
下部には同じく赤と緑で彩られたパワーリザーブ表記も。
こんなに大きなパワーリザーブ表記、初めて見ました。
使い方は意外と分かりやすいです。
まず、見たい星、星座をサファイアクリスタル上から見つけ出します。
表側から見て8~9時位置にあるボタンを押すと、クロノグラフ針が動き出します。
サファイアクリスタル上には「今、観測者が見ることができる星空の範囲」を示す楕円と、その中央を表す緑色の印が付いています。
この緑の線と重なったタイミングで、10時位置にあるボタンを押します。
すると、同時に動いていた2本のクロノグラフ針が分裂。
片方はそこに残り、もう片方は動き続けます。
もう一方の針は、最初に決めた「見たい星」の位置と重なったタイミングでボタンを押します。
ぴったりのタイミングではなくても、大体そのあたりに重なっていれば大丈夫そうです。
この2本のクロノグラフを止めたとき、1本目の後ろで指している数字。
これが「その星が夜空に出てくるまでにかかる時間」です。
画像の場合は「8時間後に見えるようになります」という意味ですね。
ちなみに、これって南半球で使用しても同じ効果が得られるんですかね?
流石にそこまでは対応してなさそうな気もします。
これが、今回世界で初めて登場した複雑機構です。
後を追うモデル、出るんでしょうか。
まだあります。
ミニッツリピーターを搭載しています。
しかも、ただのミニッツリピーターではなく、「ウエストミンスター ミニッツリピーター」です。
これは、4つの音階を持つミニッツリピーターに使われる名称です。
ウエストミンスター宮殿の時計塔、通称ビッグベンが奏でるメロディが4つの音階を用いることから名付けられています。
この「ウエストミンスター・チャイム」は学校のチャイムとして日本人にも馴染み深い音ですが、今作は「あのメロディ」が流れるわけではありません。
4つの音を用いて、優雅に時刻を知らせてくれます。
こちらの動画で、実際の音色を聞くことができますよ。
5時付近にあるレバーでミニッツリピーターを動かします。
このレバーを操作することで、現在の時刻を音でお知らせしてくれます!
7~8時位置にあるスイッチは、時間を知らせる際に「○時」か「○時○分」かを選べる機能です。
便利ですね。こちらも特許を出願している機能のひとつみたいですよ。
また、これはもう見ることも聞くこともできないのですが、トゥールビヨンが入っています。
確かにこのモデルを手に入れたとしても、日常的に手首に巻いて使うぞ!という方が珍しい気がします。
ちょっと巻いてみて満足した後はずっと飾っておきそうなこのモデルには、外観のユニークさとしてではなく、本来の機能としてのトゥールビヨンが必要そうです。
ちなみに、裏側に付いているこのスライダーは一体?
L/Oで分けられたこのスライダー。
ロック/オープンですかね?
チャイム時にリューズを動かしてしまわないようにロックするシステムが搭載されているとのことなのですが、これのことでしょうか?
何か違う気もしますが、特に説明も見つからず……こちらも知りたいことのひとつです。
表側の機構での細かな設定を崩さないよう、巻き上げ以外できなくするためのロック機能とか?
そんな機能があれば公式サイトに記載してあってもおかしくなさそうですが……ちょっと、南中時刻の件と合わせて、こちらも迷宮入りとさせてください。
搭載しているのは手巻き式キャリバー3655。
ムーブメントだけで大きさ36mm、厚さは10.96mm。
この中にこれまで説明した機能がぎゅーっと組み込まれております。
とんでもね~~代物であることがよく分かっていただけたかと思います。
なお、こちらは世界でたった1本のユニークピースです。そらそうですね。
「ソラリア」という素敵な名前ですが、特に名前の由来などに関する言及はありませんでした。
「sol(太陽)」からインスピレーションを得て名付けていそうな雰囲気があります。
表も裏も複雑機構でぎっしりなこちらのモデル。
270周年を華やかに飾る、大型新作でしたね。
レ・キャビノティエ トゥール・ド・リル
1843年、ヴァシュロンは「トゥール・ド・リル」と呼ばれる塔に工房を構え、しばらく拠点として使用していました。
これは「ヴァシュロンコンスタンタン」としてブティックを構える前の話です。
今作では、そのトゥール・ド・リルを主題として、3つのモデルを制作しました。
たった1点だけの特別なタイムピースを作るための部門「レ・キャビノティエ」による、芸術的な3本です。
この文字盤は、「ミニアチュール・エナメル」という技術を用いて作られています。
文字通りかなり細かく描写を行う「細密画」を、エナメルで行うのがミニアチュール・エナメルです。
細密画もエナメルも、どちらもかなり大変な作業です。
このモデルはおよそ1か月もの時間を費やして描かれたとのことで、間違いなく職人の魂が宿っています。
ケースサイズは3モデル全て40mm。
手首に乗るサイズで、この細かくて綺麗な絵をエナメルで描いているのです。
絵の具を乗せた後に焼き上げ作業がありますからね。かなりすごい技術なのです。
この絵はジャン・デュボワさんという方が描き、スペングラー社が石板印刷したものからインスピレーションを受けています。
トゥール・ド・リルと、その前の広場が賑わっている様子が描かれていますね。
ケースはプラチナ製です。
こちらはトゥール・ド・リルが大きく中心に描かれていますね。
この絵は、トゥール・ド・リルの正面にあった写真工房と絵ハガキの発行を行っていた、シャルノー社が制作したイラストを元に作られています。
ギョーシェ彫りとグラン・フー エナメルの技術を組み合わせた文字盤で、中央の塔以外の建物はギョーシェ彫りで表現されています。
グラン・フー エナメルは、火が出るほどの高い温度で焼き上げを行うエナメル技法です。
独特の存在感が見事に表現されていますよね。
焼き上げの段階で割れてしまったらやり直しですから、かなり慎重に作業したのだろうな……と想像できます。
ギョーシェ彫りは16時間、エナメルは40時間ほどかけて作られているそうです。
こちらの文字盤は、ピエール・エスキュイエさんによる彫金作品から着想を得たものです。
ケース、文字盤、針がピンクゴールドで作られており、統一感のある仕上がりとなっております。
ちょっと手が滑ってしまったらそこまでの作業が水の泡と化す、緊張感のある仕事ですよね。
140時間以上もかけて生み出された傑作です。
裏蓋は開閉式となっており、開けると自動巻きキャリバー2460を鑑賞できるようになっています。
時間と技術を用いて生み出された文字盤は芸術作品そのものであり、シンプルなベゼルさえ、まるで額縁のよう。
歴史ある「トゥール・ド・リル」に対する敬意を込めた、唯一無二の作品です。
*
ヴァシュロンコンスタンタンの公式サイトはこちら
2024年に登場した新作
さて、それでは2024年のウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブで登場したモデルを振り返っていきましょう。
オーヴァーシーズ
2024年のW&Wにて、オーヴァーシーズコレクションにグリーン文字盤が追加されました!
今のところはピンクゴールド無垢のモデルにのみ搭載されていますが、今後ステンレスモデルやチタンモデルでも出るといいですよね。
オーヴァーシーズ クロノグラフ
△ 5520V/210R-B966
クロノグラフとデイト機能を持った、ピンクゴールドの無垢モデル!
流石に高級感抜群です。
オーヴァーシーズ デュアルタイム
△ 7920V/210R-B965
デュアルタイム、6時位置にポインターデイト、9時位置にデイ/ナイト表記が備わっています。
こっちも良いですね。
オーヴァーシーズ オートマティック
3針+デイトモデルは、大きい方(4520V/210R-B967)が41mm、小さい方(4600V/200R-H134)が34.5mmとなっております。
大きい方で堂々と胸を張るもよし、小さい方で上品に腕元を飾るもよし、です。
△ 4605V/200R-B969
35mmでベゼルにダイヤモンドをセットした、更に煌びやかなモデルも登場しています。
34.5mm、35mmは手首が細い方や女性でも問題なく着けられるサイズ感ですね。
オーヴァーシーズ トゥールビヨン
△ 6000V/210T-H032
ピンクゴールド×グリーン文字盤だけではありませんよ!
チタンケース×トゥールビヨンを備えたオーヴァーシーズが登場しました。
最近のオーヴァーシーズあるあるですが、工具なしで簡単にブレスレットが換装できるようになっており、付属するレザーストラップ、ラバーストラップに変えて楽しむことができます。
上記で紹介したピンクゴールド無垢のオーヴァーシーズも同様です!
自動巻き式のモデルですが、ペリフェラルローターというリング状のローターを採用しているため、ばっちりムーブメントを眺められるようになっています。
このローターいいですよね。
ローター自体がなんらかの形をしていたり、美しいエングレービングが施されているものも素敵ですが、トゥールビヨンを搭載している場合は向こう側が透けて見える方がしっくりきます。
もっと流行ったらいいなあ!
パトリモニー
パトリモニー ムーンフェイズ&レトログラード・デイト
△ 4010U/000G-H070
ムーンフェイズとレトログラードによるカレンダーの半円が揃っていて、バランスの良いデザインですよね。
このふたつの複雑機構を備えたモデルは、元々ケースにピンクゴールド/ホワイトゴールドを使用した、シルバー文字盤のものが存在していました。
しかし、2024年に新色が登場!
「アンティークシルバートーン、サンバーストサテン仕上げの文字盤」とのことで、普通のシルバーダイヤルより温かみのある色合いです。
ケースはホワイトゴールドを使用しており、今後イエローゴールドやピンクゴールドの同モデルが登場するかもしれません。
安定して動き続けた場合、このお時計は122年に1度の調整で済むとのことで、さらっと書いてありますがとんでもない精度で作られています。
パトリモニー マニュアルワインディング
△ 1410U/000G-H017
手巻きの2針モデルにも、アンティークシルバーダイヤルを備えた新作が登場しました。
こちらはピンクゴールドケースのモデルも登場しています。
△ 1410U/000R-H018
個人的にはピンクゴールドの方がダイヤルカラーにも合っていて良いなあと思います!
スマートで上品なドレスウォッチはいくらあっても良いですからね。
私としてはどんどん出してほしい気持ちです。
この2針モデルのケースバックはどちらも閉じており、残念ながらジュネーブシールを獲得しているムーブメントを拝むことはできません。
ぜひ見せてほしいので、2025年は裏スケモデルも追加!とか無いですか?
機械式腕時計をチョイスするからには、中身も含めて愛でたい。そんな私です。
トラディショナル
トラディショナル トゥールビヨン クロノグラフ – コレクション・エクセレンス・プラチナ
△ 5100T/000P-H041
「トラディショナル トゥールビヨン・クロノグラフ・コレクション・エクセレンス・プラチナ」。
かなり長いモデル名ですが、ひとつひとつ見ていけば結構そのままです。
12時位置にトゥールビヨンを備え、リューズのみで操作を行うクロノグラフ機能も持っています。
そして「コレクション・エクセレンス・プラチナ」は、ケース、リューズ、ストラップのステッチに至るまで、プラチナを使って作られているモデルに付けられます。
(以前は「トラディショナル マニュアルワインディング」というエクセレンスプラチナ仲間がいたのですが、限定モデルだったため、現在はホームページに載っていないモデルとなります。)
つまり、「全体的にプラチナで作られた、クロノグラフとトゥールビヨンを備えたモデル」ですね。
本当にそのままです。
ステッチにもプラチナが入っているという徹底ぶりがすごいですよね。
だってステッチって、ストラップの端にある縫い目のことですよ。
シルクとプラチナを編んだ糸で作られているとのことで、技術っておもしろ!と思いました。
エジェリー
「エジェリー」は、ヴァシュロンコンスタンタンが誇るレディースウォッチコレクションです。
デザイナーのイーキン・イン氏とのコラボレーションによって誕生したこのモデル。
ライラックカラーのシェル文字盤とストラップが、エジェリーコレクションの意匠と非常にマッチしています。
2時位置に配置されたエレガントで愛らしいムーンフェイズと、ムーンストーンをセットされたリューズ。
他のどこでも見かけない、大胆なデザインですよね。
ミッドナイトブルー、パウダーピンクの替えストラップもあるとのことで、かなり素敵です。
夢の世界にあった時計を持ってきたかのような、幻想的な色合いの限定モデルです。
この色合い、個人的にかなり好きですが、同じくらいふんわりとしたピンク色の同モデルがあっても良いな~と思いました!
世界一複雑な時計
2024年は、ヴァシュロンコンスタンタンが「世界一複雑な時計」の記録を更新した年でもありました。
「レ・キャビノティエ・ザ・バークレー・グランドコンプリケーション」。
ヴァシュロンコンスタンタンは、ひとつ搭載するだけでも高い技術を要する「複雑機構」を、なんと63種類も搭載してみせたのです。
ムーンフェイズやトゥールビヨン等、多くのブランドで目にする機能はもちろん、その日の夜空に見える星座早見表が付いていたり、かなり複雑な中国歴の永久カレンダーが載っていたりと、その凄まじさは見るだけでも伝わってきます。
作った人、そして注文した人は使いこなせるのでしょうか。
やっぱり使わず飾っておくんですかね。こんなに沢山の機能を有する時計なのに、使わないのは勿体ないような気もします。
新作発表に向けて気になっていること
創業270周年
なんといっても、ヴァシュロンコンスタンタンは今年で創業270周年!
機械式時計業界の中で、一度も休眠することなく歴史を紡ぎ続けてきた老舗ブランドです。
歴史を重んじるヴァシュロンコンスタンタンは、周年を迎える度に「ジュビリー」という記念モデルを出しています。
240周年では47240/000J-5(トノー型2針、スモセコ、裏蓋、パワーリザーブ、デイト表記)
250周年では85250/000G-9141(ラウンド型3針、裏スケ、パワーリザーブインジケーター、デイデイト表記)
260周年では7810S/000G-B050(クッション3針、裏スケ、デュアルタイム、デイナイト表記)
といったように、記念モデルであること以外に共通するデザインコード等はなく、毎回異なる姿で登場します。
270周年記念となる今年のジュビリーは、一体どのようなモデルが飛び出すでしょうか?
W&Wでお披露目されるとは限らないのですが、早く見たいですよね。楽しみです。
→W&W2025では特になかったですね!
フィフティーシックス
フィフティーシックスは、W&W2024内では新作発表がありませんでした。
しかし2024年の内に、ピンクゴールド×黒文字盤という新たなモデルを発表しています。
フィフティーシックスの元となったモデル、Ref.6073が発表された年が1956年。
これはモデル名の由来でもあります。
来年は、そんなフィフティーシックスにとって重要な年から70年目になる年です。
フィフティーシックス自体の発表年は2018年ですが、もしかすると、フィフティーシックスの新作発表は2026年までお預けかもしれませんね。
NY
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株式会社れんずにて、ブランド時計に関する記事や紹介文を作成しています。
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