腕時計~レザーストラップ~ ワニ革の違い

  • 投稿日:2023年08月04日

こんにちは、中野の時計店れんずです。

腕時計になくてはならないアイテムである、「ストラップ」。
コスパも良く一体感のあるブレスレットを愛用される方も多いと思いますが、色や質など種類が豊富なレザーストラップで時計の印象をガラッと変えることができるので、シーンに合わせて楽しむ方もいらっしゃいます。

今回は、そんなレザーストラップの中でも人気の【ワニ革】に焦点を置いて見ていきたいと思います。

レザーとは

本題の前にちょっと気になったことがありまして。

【「レザー」って「革(かわ)」なのは分かるけれど「皮(かわ)」と何か違うのだろうか??どっちも「かわ」なんだけどな・・・(・Δ・)】

私たちの周りには多くの皮革製品があり、「革」と「皮」どちらも動物の皮膚であることに違いありません。
簡単にいうと、
「皮(スキン)」→加工前のそのままの状態。
「革(レザー)」→加工された状態。
意味合いは違うということですねぇ。

商品になる前の、動物から剝がされたそのままの状態を「皮(スキン)」と呼びますので、私たち人間の皮膚も「皮(スキン)」。

剥がして何もせずに放置すると、腐ったり固くなってしまったりして商品にできなくなるので、そうならないために加工します。
機械的に加工してなめしたり、薬品を使ったりしたものを「革(レザー)」と呼ぶのです。
ふむふむ。

レザーストラップの種類

先にレザーは動物の皮膚であることは話しましたね。
では、どんな種類の動物たちがストラップとして使われているのでしょうか。
下記、主な一覧です↓↓

他にも、羊・像・アルマジロなど沢山の種類があります。

 

ワニ革の違い

さて、本題です。
先の表でも書きましたが、「レザーの宝石」と呼ばれるワニの皮。
日本では、“ワニ=クロコダイル”であることが一般的なようです。
が、ワニ革にも種類・部位・うろこの違いなどさまざまなのです。
主な3種類のワニについて簡単にご紹介します。

●クロコダイル

私たちがよく見るワニといえば、この「クロコダイル」のことを指します。
獰猛な性格で人食いワニともいわれる彼らは、アジア・アフリカの川に多く生息。
お腹の革には「竹斑(たけふ)」と呼ばれる竹のような模様があるのが特徴的です。
呼吸をするための「穿孔」と呼ばれる小さな点がついていることも特徴の1つです。
鼻先がV字のようにとんがっているのが見分けるコツです。

 

●アリゲーター

( Photo by (c)Tomo.Yun http://www.yunphoto.net )

クロコダイル比べて性格がおとなしめのアリゲーター。顎がクロコダイルよりも長めなのも特徴です。お腹を地面について移動するため、クロコダイルにある「穿孔」と呼ばれる呼吸をする穴がありません。
鼻先が丸いのが見分けるコツです。

●カイマン

( Photo by (c)Tomo.Yun http://www.yunphoto.net )

実はアリーゲーターの仲間であるカイマン。革が固いことから「石ワニ」とも呼ばれます。
小柄な体格で、クロコダイルやアリゲーターよりも使える部位が少なく、背中部分の革がよく使われます。
そのため、アリーゲーターやクロコダイルにはないゴツゴツとした手触りを楽しむことができます。
小さくてかわいいですね。でも、気性の荒い種類もいるので、かわいいからと手を出さないように…

※大きく分ければこの3種類になりますが、1つのワニの中にも複数の種類があり、それぞれに違った特徴がありますよ。

「腹ワニ」と「背ワニ」

ワニ革は、お腹の革と背中の革で違いがあります。

●お腹の革『腹ワニ』

フラットにツルっとしていて美しく高級感のある腹ワニ。
特徴的な形をした鱗は、ワニや爬虫類の特徴の一つ。
この鱗の模様は種類によって違いがあり、『斑(ふ)』と言います。
これにも種類があり、
腹部の中心付近にある竹のような形をした四角い斑を『竹斑(たけふ)
前後の脚の部分にある丸い斑を『丸斑(たまふ)』といいます。
見たまんまなので覚えやすいネーミング。

●背中の革『背ワニ』

ゴツゴツとして野生味のある背ワニ。
ホーン(角)バック(背)』といいます。
背ワニは、主に三つの部分に分けて分類されます。

①クラウン…頭部にある『頸鱗板』と呼ばれる突起を指します。
一匹に一つしかなく、まさに王冠のような形をしていて、種類によってもちがうので見分ける目安にもなります。

②背面部…『背鱗板』と呼ばれる突起があります。中身には軟骨が入っているためとても硬くて丈夫です。

③テール…尻尾の部分。

以上を踏まえて、それぞれのワニの特徴&見分け方を見ていきましょう。

〜クロコダイルの腹ワニ・背ワニ〜

●腹ワニ
『竹斑』『丸斑』が綺麗に並んでいます。
そのため、どの部位も美しく上品さを感じます。
斑の真ん中くらいにある小さな穴が、クロコダイルの特徴である『穿孔』です。
下の写真ですと、白い点のように見えます。
拡大してみてください🔍

●背ワニ
鋭く尖った突起があるホーンバック。
クロコダイルの獰猛さを物語っています。
荒々しくワイルドで人気度も高めです。
中でも希少なクラウンは人気で、尖った大きな突起が真ん中に4つ・両側に1つずつ、計6つ付いています

〜アリゲーターの腹ワニ・背ワニ〜

●腹ワニ
全体的にクロコダイルによく似ています。
斑の大きさは大きめで、『竹斑』が長方形で、クロコダイルに比べると長く伸びたような形をしています。
わかりやすい違いとしては、アリゲーターには『穿孔』がありません。

●背ワニ
やや丸みを帯びた突起を持っています。
また、突起の間の隙間が広く空いているのも特徴です。

背ワニだけを見れば、ワイルドさはクロコダイルほどではないのですが、腹ワニは斑が大きいこともありアリゲーターの方がワイルドに感じます。

 

〜カイマンの腹ワニ・背ワニ〜

●腹ワニ
他の二種に比べ、全体的に細かい皺が見られます。斑は、正方形に近い形をしています。
隣り合わせの斑の溝は、浅いように見えます。


https://mudmonkey.jp/magazine/4390/

●背ワニ
カイマンにも人気な部位であるクラウンがあります。突起が4つ→4つ→2つ→2つの順に4列並んだ形をしています。クロコダイルと見分ける方法の一つです!
他にも、ホーンバックの突起の周りが三日月状にへこんでクレーターのようになっているのも特徴です。

 

見分ける方法まとめ

3種を色々と比較したうえで、ぱっと見分ける方法をまとめてみます。
様々な革製品で是非見比べてみてください。

①クラウンを比べる-クロコダイルとカイマン-

・クロコダイルは、真ん中に4つ・両端に1つずつ
・カイマンは、4列で『4→4→2→2』

②穿孔-クロコダイルとアリゲーター-

・クロコダイルには有る!アリゲーターには無い!

実際に見比べてみましたが、穿孔の大きさに個体差があったり加工によって見えなくなることもあるようです。
基本的には鱗1つに1個ついています。

③カイマンかどうか見分ける

・斑にシワがある。
・突起の周りに、三日月型のクレーターがある。

 

終わりに

『ワニ』といっても、種類・部位、さらにまた細かい部分まで違いがあり素材としての表情や触り心地も違う楽しみがあるようです。
まだまだ、どんな名前ワニがいてどんな加工されて、、とか深く掘れば掘るだけ沼っていきそうなのでこのあたりで一旦まとめておこうと思います。
また、冒頭でもお話しした通り、革ベルトは消耗品でお手入れを怠ればすぐに傷んでしまいます。
どんなお手入れをすればよいのか、別のブログでまたご紹介します。
お楽しみに。

中場のブログでした。

 

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