ロレックス プロフェッショナル(スポーツ)モデルの歴史について 微細な仕様変更まで解説します!

  • 投稿日:2024年03月07日

レーサーにはデイトナ、ダイバーにはサブマリーナー、パイロットにはGMTマスターなど、様々なスポーツや仕事をする人に向けて作られているロレックスのスポーツモデルには、そのモデル毎に多くの特徴があります。
スポーツモデルはデイトジャストなどのドレスウォッチに比べても高い機能性と耐久性を誇っており、使用するターゲット層に特化した機能を付加し製作されていることからプロフェッショナルウォッチとも呼ばれています。

そんなスポーツモデルが発売されて以来、多くの歴史を歩んできていることから、多くの人たちに愛用されていることがわかるでしょう。
それでは、ロレックスのスポーツモデルの歴史や仕様変更を細かく解説します。

ロレックス スポーツモデルの歴史を振り返る

ロレックスのスポーツモデルの中でも人気が高いモデルは、初代モデルが誕生してからベースとなる基本デザインはほとんど変わっていません。
歴史あるデザインが今でも愛され続けていることから、ブランド力はもちろん一種のステータス、そして性能の高さに魅了されている人が多いと言えるでしょう。
同じ型番であっても年代などで微細な仕様の相違点がある所も、ロレックスファンの収集癖を擽る面白い点と言えると思います。
それでは、ロレックスのスポーツモデルの歴史や仕様変更を細かく解説していこうと思います。

サブマリーナーデイト

1953年に誕生したサブマリーナー。
世界で初めて防水腕時計を開発し、多くの探検家のためにエクスプローラーやサブマリーナーが誕生しました。

サブマリーナーはダイバーのために誕生したスポーツモデルで、ダイバーズウォッチの原型となって後継時計に仕様が受け継がれています。
水深
300mという深さでも耐えられる耐久性を誇っており、その人気は衰えを知りません。

1958年に5512、1962年に5513と新しいモデルが登場するたびに改良が重ねられており、1965年に誕生した1680はサブマリーナーデイトと呼ばれています。
中でも初期型は赤サブと呼ばれるレア仕様もあります。

1980年~1986年には16800が登場し、回転ベゼルが逆回転防止仕様になったことでダイバーズウォッチとしての機能性を高めています。

1989年には16610が登場し、プラスチックの風防からサファイアクリスタルに改良され、水深300mまで耐えられる耐久性を獲得しました。

2003年にサブマリーナー生誕50周年を迎えた事を記念し、コーポレートカラーであるグリーンをベゼルインサートにカラーリングした16610LVが誕生。

2010年には116610LNとグリーンの116610LVが登場。ケース径は40ミリを受け継ぎますが、ベゼルインサートをセラミック、ブレスレットのコマを削り出し無垢に変更する等の多くの改良が加えられ、現代にマッチした堅牢性を増した仕様へとブラッシュアップ。

2020年には2024年現在の最新の現行機種となる126610LNと126610LVが誕生。ケース径はサブマリーナー史上初の41ミリへと大型化、ムーブメントも70時間のパワーリザーブを有するCal.3235へと変更されるなど、さらなるブラッシュアップが図られています。

ステンレスだけではなく、ロレゾール(コンビ)やイエローゴールドとホワイトゴールドもラインナップされます。ロレゾールにはシャンパンゴールドやシルバーの文字盤、ゴールド無垢にはブルーとブラック文字盤などがございます。

16613

16613SG

116613LB

126613LN

126618LN

エクスプローラー

1953年に誕生したエクスプローラー。
サブマリーナーと同時期に登場したエクスプローラーは、サブマリーナーと違って半世紀以上もデザインの大きな変更がないのが特徴です。

1953年に誕生したのが6350で、この頃のエクスプローラーは文字盤が白い上にギョーシェ仕様で、リーフ針、ビックドット秒針、ロングベンツ針といった試行錯誤が行われていた時代でした。

そして改良が重ねられた第三世代では、1988年まで発売されていたロングセラーモデルの1016が登場しています。
文字盤がサークルミラーになり、自動巻きムーブメントが採用されました。

1970年代から登場した1016の後期型は、文字盤の外周にあったサークルがなくなり、インデックスや表記がゴールドからホワイトになっています。
ブラックの文字盤もマットな色調になったことで視認性が向上しました。
さらに、ムーブメントがクロノメーターに変更されています。

1990年から2001年までラインナップされた第四世代にあたる14270。

14270は人気俳優がドラマでつけていたことで、空前のロレックスブームを巻き起こしているのが特徴です。
1016と比べるとインデックスがスクエア形状のフォントに変更されており、プラスチック風防からサファイアクリスタルの風防になっています。
細かなマイナーチェンジが行われているのもポイントで、初期はシングルバックルだったのが、1995年にはダブルバックルに変更されています。
モデル末期となる1999年には夜光塗料がトリチウムからスーパールミノバに変更されているなど細かな違いがあります。

2001年にはムーブメントの一部に改良が加えられた114270が登場。14270との見た目に大きな変更点はありませんが、サファイアガラスの6時位置に王冠の透かしが入り、後期モデルではルーレット状の刻印が彫られるなどの改良がおこなわれています。

2010年には214270が誕生。ケース径は39ミリへと大型化、ブレスレットのコマも無垢になるなど堅牢性が向上。
初期は369のインデックスに夜光が塗布されないブラックアウト仕様、後期は夜光塗料が塗布されています。
見えない部分ではムーブメントは3130から3132へと変更されています。

2021年には廃盤となっていた36ミリケースが復活しステンレスの124270、エクスプローラーとしては初のコンビ(ロレゾール)仕様の124273が誕生。39ミリと共存していたことからエクスプローラー36とネーミング。
ムーブメントはパワーリザーブが70時間まで延長された3230を搭載。

2023年には39ミリが廃盤となり、40ミリへと大型化された224270が登場。エクスプローラー36もラインナップされる事から、エクスプローラー40とネーミング。124270と同様に70時間パワーリザーブを有するムーブメント3230を搭載。

エクスプローラーⅡ

1971年に誕生したエクスプローラーⅡ。
初代エクスプローラーの1016に、24時間針を備える事で暗闇の中でも昼夜を判別できる24時間帯表示機能が加えられた後継モデルです。
エクスプローラーⅡの初代モデルは1655で、アンティーク市場では高い人気を誇ります。
後継機である16550は1984年に登場し1988年まで製造されました。たった4年間という短い期間の生産であったため、市場での流通量は極めて少ないモデルです。

1991年には16570が登場し2011年まで製造が続いたロングセラーモデルのため、さまざまな仕様変更が行われています。

1991年~1996年はシングルバックルのエクスプローラーⅡが製造されていました。
1997年からはダブルバックルのエクスプローラーⅡが製造・販売されています。
1998年頃より各夜光がトリチウムからルミノバへ変更。
1997年~2003年はダブルバックルで横穴があるエクスプローラーⅡが製造されていました。
2004年~2011年はダブルバックルで横穴の無いエクスプローラーⅡが製造されています。

初期のシングルバックル+横穴有り

中期以降のダブルバックル+横穴無し

また初期の16570にはホワイトの塗料が経年により色目を変化させたアイボリーダイヤルも存在します。

 

GMTマスター

1955年に誕生したGMTマスター。
1955年~1959年に初代が誕生し、1960年代~1980年頃に第2世代、そして1980年~1988年頃に第3世代が誕生しました。

ステンレススティールのブレスレットのGMTマスターの16750は日付表示のクイックチェンジが搭載され、普段使いに特化しています。
第3世代の
GMTマスターには製造年によって、夜光塗料を塗布したインデックスにフチがないものと、メタル枠がついたフチありの個体が存在するのが特徴です。

1988年~1999年頃には最終モデルとなる第4世代の16700が登場しました。
メンテナンス性と安定性に優れた
GMT特有のムーブメントを搭載しており、他にもカレンダーのクイックチェンジ機能もあります。

また、1995年頃にはシングルバックルからダブルバックルに変更されており、風防にサファイアクリスタルが採用されているのもポイントです。

GMTマスターⅡ

1982年に誕生したGMTマスターⅡ。

GMTマスターⅡは2つの時間帯を同時に表示できる唯一無二の特徴を持っており、世界中を飛び回るパイロットから絶大な支持を受けています。
GMTマスターⅡの初代である16760は1982年~1988年に誕生しており、新しく搭載されたムーブメントによって短針が単独で動かせるようになりました。

24時間回転ベゼルと合わせることで3ヶ国の時間を表示できるようになっています。
ただ、代わりにカレンダーの早送りができなくなりました。

ステンレスケースに黒と赤のベゼルが特徴的で、約5年間しか製造されていないことから流通量が少なく、希少性が高いです。

1990年~2007年には第2世代の16710が誕生しました。
前モデルのスタイルを引き継ぎつつ、さらに高性能なムーブメントを搭載。

さらに1998年頃には夜光塗料のトリチウムからスーパールミノバに変更されています。

1999年には赤と黒、青の3種類のベゼルが登場し、2003年頃にはケースの横穴が塞がりました。
2007年~2019年には第3世代となる116710が誕生しました。

無垢のブレスレットパーツのセラミックベゼルを使用したモデルとして、GMTマスターⅡの人気を押し上げたのがポイントです。

青と赤のベゼルから黒のベゼルになり、24時間針や文字盤のモデル名がコーポレートカラーのグリーンに変更されています。
現在では126710BLRO、126711CHNR、126710BLNR、126720VTNR、126713GRNRが生産されており、いずれも人気が高いモデルとなっています。

コスモグラフ デイトナ

1963年に誕生したコスモグラフ デイトナ。
デイトナの初代は1963年~1970年頃で、6239と6241があります。

6239は生産初期から後期にかけてベゼルや文字盤の仕様が変わっている他、6241もダイヤルにデイトナの文字が表記されていなかったり、12時の方向にデイトナの表記があったりと、個体それぞれの細かな違いが初代の価値を上げています。

1960年代~1970年代中頃には手巻きデイトナ用のダイヤルを採用したポール・ニューマンダイヤルというデイトナがあるのも特徴です。
俳優のポール・ニューマンが愛用していたことから名づけられたダイヤルで、スクエアインデックスが採用され、独特なフォントのアラビア数字が唯一無二のポイントになっています。

なお、初代デイトナは謎が多く、数年間しか製造されていないと言われています。
第2世代のデイトナは6262と6264がありますが、製造期間が4年しかなく、早々に第3世代に移られた短命の世代です。

6262はステンレスベゼル、6264は黒のプラスチックベゼルが採用されており、デザインも初代と共通している部分が多く、精度が向上している以外に些細な違いはありません。

3世代のデイトナ6263と6265があり、手巻きムーブメントの最終モデルです。
製造期間は1970年~1988年と非常に長く、生産初期、中期、後期でさまざまなマイナーチェンジが行われているのが特徴です。


生産初期はダイヤルにモデル名の表記がなく、中期以降に赤文字で12時積算計の上部にプリントされています。
6263の生産初期にはレアダイヤルであるエキゾチックダイヤルが採用されているモデルがあり、ブレスレットが生産初期にしかないフラッシュフィット一体型巻き込みブレスが採用されています。

また、このモデルは完全な状態で保存されている場合、億単位の価値があると言われているのがポイントです。

第3世代の生産初期は巻きブレスが採用されていましたが、中期以降はメタルから各パーツを削り出して製造されるハードブレスに統一されました。
さまざまな変遷を経て、今もなお絶大な人気を誇っているのが、第4世代のデイトナ:16520です。

こちらは1988年~2000年にかけて製造されたモデルで、自動巻きになっているのが特徴です。
12年の製造期間は第3世代よりも短いですが、その分さまざまなマイナーチェンジが行われています。

1988年~1989年頃のマークⅠは夜光がトリチウムで、唯一12時側が段落ち仕様になっています。
1989年~1990年頃のマークⅡは夜光がトリチウムでT SWISS MADE Tと表記されています。

1990年頃のマークⅢは製造期間が短く、個体数が少ないので希少性が高いのがポイントです。
トリチウムの
T SWISS MADE Tと表記されています。

1990年~1992年頃のマークⅣはブランド名にのみ装飾フォントが施されているのが特徴で、トリチウムの「T SWISS MADE T」と表記されています。
1992年~1994年頃のマークⅤは今まで逆6のインダイヤルでしたが、このモデルから正6のインダイヤル仕様になります。
トリチウムの「T SWISS MADE T」と表記されています。

1995年~1999年頃のマークⅥはトリチウムの「T SWISS MADE T」と表記されている最後のモデルです。
1999年~2000年頃のマークⅦは夜光がルミノバに変更され、6時側のテキストが「SWISS MADE」表記になっています。

2000年~2016年には第5世代が登場し、116520と6桁リファレンスとなり、完全自社製ムーブメントが搭載されるようになりました。
パラクロム・ヘアスプリングを採用し、テンプ受けもツインブリッジに変わっています。

さらにハック機能の追加、王冠の透かし、インデックスの大型化、インダイヤルの配置の変更などさまざまな変更が行われているのがポイントです。
イージーリンクによって微調整が簡単にできるようになり、ブレスレットは今まで中空だったリンクパーツをソリッドパーツに変えることでフラッシュフィット一体型ダブルロックになっています。

2016年~2026年には第6世代の116500LNが登場し、ケースやブレスレット、ムーブメントはそのままに独自の高精度クロノメーターを採用しているのがポイントです。
2016年に特許を取得したブラックセラミック製のモノブロックセラクロムベゼルを搭載しており、生産終了後も高い人気を誇っています。

そして2023年以降の現行モデルである126500LNは、前モデルの魅力を引き継ぎつつ、手巻きの時代のデイトナを思わせるデザインになっているのが特徴です。
夜光はルミノバで、ホワイト黒魔ライトディスプレイを搭載したことで夜光インデックスが見やすくなっています。
また、新しいムーブメントが搭載されており、ロレックスの最先端技術がふんだんに搭載されています。

まとめ

ロレックスのスポーツモデルは年号を重ねるごとにさまざまな改良を重ねており、目まぐるしい進化を遂げていると言えます。
状態が良い昔のモデルを持っている場合、買取相場も高めになるので、手放すことがあったら査定してもらうのがおすすめです。 

 

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