機械式時計のロマン・複雑機構②「ミニッツ・リピーター」

  • 投稿日:2022年08月28日

前回は、『パーペチュアルカレンダー』についてお話ししました。
お久しぶりです! 中場です。

早速ですが今回は、『ミニッツリピーター』についてみていきたいと思います。

ミニッツリピーターとは

美しい音色で多くのコレクターを魅了

ミニッツリピーターとは、ボタンまたはレバーを操作すると、現在時刻を時間・15分・分の順に、音で知らせてくれる機構のことです。
10時10分であれば、まず低音で10回、次に高音で10回。
12時59分であれば、低音で12回、低音+高音で3回、最後に高音で14回。
聞き取りで認識しやすい時間もあれば、聞いている途中で「今何回鳴ったっけ?」と分からなくなってしまいそうな時間もあったようです。

ミニッツリピーターが誕生したのは1676年のイギリス。
当時は置き時計に搭載されていました。
誕生当時はまだ電気がなかったため、灯りがない夜間でも時刻がわかるように発明されました。

1783年になると「時計の歴史を200年早めた」といわれる天才時計職人アブラアン・ルイ・ブレゲが、ミニッツリピーターを懐中時計に搭載できるサイズまで小型化します。

ブレゲはムーブメントに沿ってスティール製のワイヤーをセットすることで、美しい音と小型化を実現しました。

このときのブレゲの設計は、当時の懐中時計から現在の腕時計にまで広く用いられています。


シェルマン グランドコンプリケーション 6770-H13332F

ミニッツリピーターの特徴

レバーやボタン操作で現在時刻を奏でるミニッツリピーター。
他の時計では見られない特徴を有しています。

ケースから突き出ているレバー

ミニッツリピーターはボタン式のタイプも一部存在しますが、基本的にはレバー式です。

そして、そのレバーのほとんどがリューズと反対側、ケースの8~9時の位置についています。

そのため、ケースから突き出しているレバーがある時計は一目でミニッツリピーターが搭載されていることがわかるのです。

時計好きな人が見れば一目でわかるので、ビジネスシーンでのステイタスツールとしてだけでなく、話題を広げるアイテムにもなりますね。

シェルマン サイドスライド ミニッツリピーター 6890-H25527 

「音」に価値がある

ミニッツリピーターが誕生した時代ならともかく、電気やスマートフォンが普及している現代。
夜でも手元の時計が見えるほど明るいですし、そもそもスマートフォンで時刻を確認できちゃいます。

また、ほとんどの時計には夜光塗料が施されているので、暗い場所にいたとしても簡単に時刻を確認できます。

それにも関わらずミニッツリピーターが、現代でも多くの人を魅了し続けている理由。

それは、ミニッツリピーターの奏でる「音」が魅力的だからです。
この「音」はメーカーやモデルごとで微妙に異なるものになっています。
しっかりした音から可憐な音まで個性豊かです。

時間によっては鳴り続ける音で時間を確認するのは少し面倒と感じてしまうかもしれません。

しかし、ミニッツリピーターが奏でる音色は、いつまでも聞いていたいと思えるほどの魅力があります。

微妙な違いを比べたり、自分が好きな音をいつでも楽しんだりするためにコレクションしたくなりそうですね。

私事ですが、知人からその音色を聞かせてもらえる機会があり、その繊細で綺麗な音にハマってしまいました。
何度でも聞きたくなりました(^^)

似ている機構「アラーム」「ソヌリ」

自らの意思で現在時刻を知るのがミニッツリピーター。

そのほか、同じく音で時刻を知る機能として「アラーム」や「ソヌリ」があります。

アラームは聞き慣れた単語ですよね。
毎朝お世話になっている人も多いかと思います。
機械式腕時計に搭載した場合もその機能は一緒で、「設定した時刻になったら音が鳴って知らせてくれる」のがアラームです。

ソヌリ」は壁掛け時計のように、一定時間経つと勝手に音が鳴ります
30分ごとに鳴る「プチソヌリ」15分ごとに鳴る「グランドソヌリ」が存在します。


ちょっと余談ですが、イギリス・ロンドンのウェストミンスター宮殿の大時計「ビッグ・ベン」、ありますよね。

この時計台は毎日、正午になると鐘を鳴らして時刻を知らせてくれるのですが、その音色は、日本人にも馴染み深いものであることをご存じでしょうか。

『キンコンカンコーン キンコンカンコーン』

そうです、学校のチャイムです。
日本で用いられている学校のチャイム音は、イギリスのビッグベンの正午の鐘の音と同じなのです。

これを知ったとき、私の中にある学校風景が急に色鮮やかになった気がしました。

 

そんなわけで、今回は『ミニッツリピーター』について、中場が書かせていただきました。

ではまた。

 

2025.2 加筆・修正 NY

この記事の監修者

小池 豪 (こいけ たけし)
小池 豪 (こいけ たけし)
好みの時計:ダイヤモンドが多くセットされているゴージャスな時計
1971年11月11日産まれ
東京都中野区出身

業界歴:2007年より時計業界に従事
22歳イベント企画会社入社。
その後、総合商社に総合職で入社、平日は経理、土日祝は地方営業。
その後、学生時代の知人に頼まれ厨房設備の運搬設置業に携わる。
2001年、某有名店社長と出会い、時計業界に誘われる。
2007年に独立し、現在に至る。
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